かつて栄華を極めたパックスブリタニカの英国は、その栄光の道を米国に譲った。そのパックスアメリカーナの米国も、日本にその道をあけ渡そうとしていた。それは、1979年に出版された米国の社会学者エズラ・ヴォーゲルの「Japan As No.1」の本に象徴され、No.1を気恥ずかしく思っていた日本人ですら、しばらくはバラ色の経済大国になると確信していた。日本人は、勤勉でチームワークに長け、かつ数学や理科などの科学技術の基盤となる学科が世界でも優れてトップレベルだからだと紹介されていた。英国も、米国も、労働生産性の高い製造業が牽引してその国の富みを築いてきた同じ様に、日本も世界を制覇する原動力は製造業であった。しかし、21世紀直前に起きた“IT・インターネット革命“と社会主義国の自滅によるグローバル化の進展は、日本が世界一をエンジョイする機会を与えなかった。以降、期待されていた日本は、失われた20年を経て更に迷走を続けている。