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「ダイバーシティ時代のプロジェクトマネジメント」
~インターネットを活用する力~

井上 多恵子 [プロフィール] :4月号

 多様な考え方に触れたいと思っても、リアルにいろんな人と接しようとすると、時間的にも距離的にも、限界がある。そこで、間接的な情報源にはなるけれども、我々は、メディアや書物を通じて、そういったものに接している。さらに今日では、インターネットを活用すれば、実に様々な情報をグローバルに、しかも動画で得ることが可能だ。
 その中で、今回は、TEDというサイトとツイッターをご紹介したい。TEDは、ウイキペディアの説明によると、「Technology Entertainment Design の略で、アメリカのカリフォルニア州モントレーで年一回、講演会を主催しているグループのこと。TEDが主催している講演会の名称をTED Conference(テド・カンファレンス)と言い、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物が講演を行なう。講演会は1984年に極々身内のサロン的集まりとして始まったが、2006年から講演会の内容をインターネット上で、無料で動画配信するようになり、それを契機にその名が広く知られるようになった。講演者には非常に著名な人物が多く、例えばビル・クリントンやアル・ゴアといった人物が講演を行なっている。」

 英語での10分程度のスピーチに対し、英文スクリプトが用意されている。さらに、数多くのボランティアにより複数の言語に翻訳されており、日本語のサイトもある。日本語のサイトのURLは  こちらだ。私自身は今年のお正月休みから視始めて、すっかりはまってしまった。毎日時間が少しでもあると、英語の学習も兼ねて見ている。TEDのコンセプトがIdeas Worth Spreading(広げる価値があるアイデア)であり、その基準で選ばれたアイデアを持っている人たちがスピーチをしている。だから、どのスピーチを視ても心が動かされる。「世の中の人たちに伝えたい。自分が信じるところを進めることで、世界を変えることができる」と心の底から願っている人たちがしゃべっているので、説得力がある。しかも、スピーチのテーマは実に多様だ。地球温暖化、地域社会、アート、科学、技術の進歩、生物、脳の働き、心理、女性活用など、実に幅広い。世の中の人が、こんなに異なることに関心を持っている、ということを知るだけでも刺激になる。しかも、ある事を見る際の視点はさまざまだ。

 特に印象に残っているスピーチを紹介したい。THE HAPPINESS ADVANTAGE 『幸福優位7つの法則』の著者、ショーン・エイカーのスピーチは、実にユーモアたっぷりで、聴衆の笑いを何度も誘っていた。ユーモアのあるスピーチをしたい人には、いいお手本になる。彼は、「成功するから幸せを感じるのではなく、幸せを感じている人が成功する確率が高い」と唱えており、「どのように物事を捉えるか、で身体的な痛みも忘れることができる」ということを子供の頃妹さんと遊んでいた時に起きたことを例にあげて説明している。妹さんがベッドから誤って落ちて、今にも泣きそうになっていた時に、「そんな四つん這いに床に着陸できるなんて、君はユニコーンだ!」と言ったら、妹さんが、泣くか、それともユニコーンになるか、心の中での葛藤を数秒間繰り広げた後、笑みを浮かべて、 “ユニコーン”として優雅にベッドによじ登ったのだと言う。

 TEDの動画を視ると、一石二鳥以上の効果がある。前述したように、英語の学習(リスニング力の強化、表現の習得)、効果的なプレゼンテーションをするためのコツの習得(抑揚のつけ方、立ち振る舞い、アイコンタクト、聴衆を魅了する方法)、ある分野についての知識の習得(限られた時間にエッセンスをぎゅっと凝縮しており、スピーチにも余分な言葉が入っていないため、)ができるだけでなく、心が動かされ、元気になる。そして、自分も、「なにかこれで世の中を変えたい」というものをたとえどんなに小さくても探してみたい、という気になる。皆さんもぜひ一度視聴してみることをお薦めします!

 ツイッターでは、短いつぶやきを誰もが発信することができる。オバマ大統領から著名人や芸能人まで、数多くの人のつぶやきを読むことができる。Michelle Obama newsとして、オバマ大統領夫人が日々どんな行動をしているのかを示すつぶやきもある。日本人宇宙飛行士の野口聡一さんも、日本語と英語の両方でつぶやいている。例えば、こんな日本を応援するつぶやきがあった。

 KESENNUMA - BUILDING FOR THE FUTURE, JAPAN. (気仙沼―将来に向けての構築、日本)
 #東日本大震災 より以前の気仙沼市の姿 #fromspace (宇宙より)
 皆様へのメッセージ:

 TEDであれツイッターであれ、好奇心を刺激してくれる要素はたくさんあると私は確信しています!だから、まずは気軽にサイトを覗いてみることをお薦めします。「面白そう!」と思えば、興味のおもむくまま、深く入り込めばいいし、「ちょっと自分には向いていないな」と思えば、深入りする必要はない、そんな自由な世界がネットの良さだから。
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