理事長コーナー
先号   次号

ミッション・インポッシブル

PMAJ理事長 光藤 昭男 [プロフィール] :2月号

 今年初のトピックスは正月に観た映画とP2Mを関連させ、遊び心を入れた柔らかい内容にました。正月興行の中で前評判の高かった「Mission : Impossible - Ghost Protocol」がその映画です。トム・クルーズが演ずる米国極秘諜報機関IMFのエージェント、イーサン・ハントが、獅子奮迅の活躍でインポッシブルと思われるミッションを、結末で「Mission accomplished」、無事ミッションを達成するアクション映画です。大変楽しく鑑賞したなぁという印象で、アクション好きの人に推薦出来る映画です。

 P2Mの主要パートであるプログラムマネジメントでは課題解決のためにまずミッションを定義することはご承知の通りである。 映画では、ロシアの核ミサイルを略奪し米国に向け発射させ核爆発狙う攻撃を未然に防止し、市民の平和な日常を維持することがミッションでした。敵の姿すら判らない前段では“不確実性”が多く、物語の展開に“複雑性”、“拡張性”、“多義性”も感じさせます。P2Mガイドブックの第3部に記載の通り、プログララムは“ミッションプロファイリング”から始まり、“シナリオ構築”、有機的に繋がる“プロジェクト群”に展開されてゆきますが、当然ながら物語の全貌は判らないように進展し、観ている観客はハラハラします。映画の展開とともに想定外の事件が相次いで起き、“プロジェクト群”の範囲は所与のものでは済みません。イーサンらはプログラムの“変更管理”を適切に実施しながら物語は進みます。
 
 ちなみに、「Ghost Protocol」とは、IMFを解体せよとする米国大統領指令のことだそうです。映画ではクレムリンが何者かに爆破されますが、米国政府の指示でIMFが起こしたテロであるとロシア政府が信じていると憶測し、それをカモフラージュするために出した指令で、小(IMF)を犠牲にしても大(米国)の対面を守る作戦でした。また不確定情報に基づく思い込みによるアクションを取る場面もいくつかあります。現実に起きるプロジェクトの問題と比喩させても考えられますので興味をそそられます。

 イーサンは、途中から個性強い3名のプロフェッショナルのチームを率いるリーダーとなりますが、そのチームがお互いの特技を活かしながらチームとして意思決定し、助け合い、チーム・パフォーマンスを最大化させながら物語は結末へと向かいます。核爆発を未然に防ぎミッションが達成された後に、4名は打上パーティを開きます。プロ中のプロ自身が反省する場面設定も面白いですが、お互いを認め合い、チームワークが大変良かったとプログラムを“事後評価”し、ナレッジを蓄積してチームは解散し、次のミッションのある場へと向かいます。蛇足ですが、物語の展開とともにドバイからムンバイへと都市を移動する場面がありますが、何故か海外調達をしてその外注先を訪問しているような錯覚に陥りました。

 さて、当協会の現実の話です。PMAJの「中期ビジョン」の概要をオンライインジャーナル1月号に掲載し、直接ご説明する機会も増やしてきました。現在までのところでは、“盛りだくさん”の各プロジェクトそれぞれの達成へ向けた期待が大きいことが感じられました。イーサンのチームに負けずに、“Mission : Impossible” ではなく、“Mission Accomplished !” と言えるよう、チームパフォーマンスを最大化し、一つ一つ目標を完遂結させて行くよう展開したいと思います。

以 上
ページトップに戻る