地域活動コーナー
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P2Mと研究会活動についての雑感

九州P2M研究会 井川 宏幸 [プロフィール] :1月号

 IT子会社に出向していたとき、P2Mに関する研修を受講し、平成15年にPMS資格を取得しました。当時、付加価値の創造やイノベーションの仕組みづくり等を特長とするP2Mの思想に共感しながらも、既に一定の知名度をもつPMPがあったことから、この新しい体系・制度が果たして普及するのか、今後自分の役に立つのか疑問に感じたことを思い出します。また、PMSの他にも毎年の維持登録が必要な資格を有していたこともあり、P2Mを継続的に学習し資格を更新していくのを止めようかと考えたこともありました。

 そのような状況のなか、平成18年頃、約1年間受けた社外研修の一環で、計6回の「ロジカル・コミュニケーション」コースを受講し、論理的に考える技術や書く技術を習得しました。これは、日常業務においての問題解決や文書作成に非常に有益であり、自分自身の中で確立されたフレームワークとして大変役立っています。しかしながら、厳しい経営環境やステークホルダーの利害関係等が複雑に絡み合った状況での問題解決においては、やはり、ビジョンを描き実現したい未来を創造していくP2M的なアプローチでないと突破口が開けないような状況を何度か経験したことで、あらためてP2Mの存在価値とその有効性を再認識しました。
 このため、PMS資格を保有しているだけではなく、九州P2M研究会という継続的な学習の場があるということを大変ありがたく感じています。

 ここ2年間の九州P2M研究会での継続的な活動テーマとしては、平成21年度は日本軍の組織論的研究「失敗の本質」(中公文庫)をベースに、平成22年度は人事業務改革の軌跡を描いたノンフィクション「プロジェクトファシリテーション」(日本経済新聞出版社)をベースに、P2Mの観点からマネジメントのポイント等をメンバーでディスカッションしながら取りまとめを行いました。
 今回のテーマは、情報処理推進機構(IPA)が取りまとめた「実務に活かすIT化の原理原則17ヶ条~プロジェクトを成功に導く超上流の勘どころ~」ですが、参加者がそれぞれの立場(ユーザーorベンダー)で意見交換を行い、原理原則の本質に迫るとともに自らのプロジェクトマネジメントへの実践的な活用につなげることができればと考えています。

 研究会へ継続的に参加することで、仕事におけるモチベーションの維持やさまざまな業界の方々との交流ができるなど、自己成長のひとつの場として活かせることから、ぜひ多くの皆さんに参加していただきたいのですが、九州はまだまだ少人数ですので、研究会活動がこれまで以上に発展していくよう、PMAJさんの協力を得ながら、私個人としても努力していきたいと思います。

 最後に、最近読んだ本のなかで、プロジェクトマネジメントの実践において参考になるものがありましたので紹介します。佐々木直彦著「プロデュース能力 ~ビジョンを形にする問題解決の思考と行動~」(日本能率協会マネジメントセンター)です。P2Mの思想と響きあう部分も多く、また物語が挿入されているため分かりやすく、おすすめです。
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