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「私たちのP2M (Project & Program Management )」とは何か、考えてみませんか
-発注者が求めるプロジェクトの見える化をしよう (13)-BMの勉強⑥-

渡辺 貢成:1月号

 読者の皆さん新年おめでとうございます。大震災の中で日本人の秩序正しい行動が世界中の賞賛を得ました。同時に、日本人自身が日本の良さを改めて理解し、震災のお陰でたるんでいた気持ちがしゃんとしてきました。
 この11月3日に発売された竹田恒泰・呉善花(韓国人・拓大教授)著「日本人って、なんですか?」を読みますと、私達が気付いていない日本人の良さを知ることができます。呉さんは「震災に遭っても誰のせいにもしない日本人」と言っています。朝鮮半島では「まず、自然を恨み、神を恨み、災害に遭った自らの不幸を嘆きます。神が本当に存在するならば、なぜ私達だけにこれほどの苦しみを与えるのかと恨む気持ちを持ち、神や自然に対し抵抗を続け、その恨みや抵抗心をバネにして力強く生きるのが人間であるという考えがある」と云っています。その理由として日本と朝鮮半島の違いを述べています。朝鮮半島には地震、津波、火山噴火による被害はなきに等しい。災害と言えば飢饉と戦争だそうです。営々と築き上げた生活や文化が壊滅的な打撃を受けるのは災害でなく、外敵の侵入による戦争です。朝鮮半島は2,000年間に、1,000回の外敵の侵略を受けています。これに対し日本は古代5世紀から今日までの1,500年間に1,400回の地震が記録され、実に大震災は3年に1回記録されています。
 この問題を私なりに深く考えて見ますと、日本は自然から多くのお恵みを受けてきました。災害は時にひどい打撃を与えるが、同時に計り知れない自然のお恵みを与えてくれます。一時的に打撃を受けるが、自然が古いものを破壊し、新しい成長を促し、以前より大きな恵みを与えてきました。自然の被害に比べ、外敵の被害は人為的で、それからは何のお恵みも得られないという点で日本は恵まれています。
 大震災は障壁となっている古い成功体験を打破する絶好の機会です。新しいBMを考えようではありませんか。私達はこの際世界で最先端の農業、最先端の医療、介護、新しい学校、自然の恵みの活用と観光などの開発を頭に入れて、先月号の続きを読んでください。

1. BMG(Business Model Generation)
   先月はBMGによるBM構築の5つの仕組みを説明しました。今回は最初のキャンバスから話を進めます。キャンバスは経営を9つのブロックで捉え、現状の問題点を理解し、将来の「あるべき姿」を9つの視点から求めた課題を適宜組み合わせることで競争優位なBMを構築するための考える基盤です。
1.1 Canvas:
  (1)キャンバスは9つのブロックでBMを考える。
 注:先に経営の問題点を俯瞰するOWモデルを説明しましたが。OWモデルの9つの視点とほぼ類似です。図2ではその類似性を示しました。
図2 Business Model Canvas  さて、
顧客の選別化(マーケッティング)、
(商品、サービスを含む)価値提供、
流通(販売)、
顧客関係性構築、
歳入経路(収入源)、
主要経営資源、
主要業務活動、
主要なパートナー、
コスト構築構造(組織力)
から成り立っています。BMは結局9つのブロックに含まれる各要素の組み合わせになるという発想です。
  1) 選別顧客
    定義: 企業は顧客ニーズを探すために、類似の顧客を選別し、ニーズの研究をする。
    解説:
      どのようなBMにおいても顧客はその中核として構成されている。
      利益を生み出す顧客なしに、企業は長期的に生き残れない。
      顧客をよりよく満足させるために、企業は一般的なニーズ、一般的な行為、その他の属性によって明確な選別をする。
      組織はどの組織を選別して、サービスし、どの組織を無視するかを恣意的に決めなければならない
  2) 価値提供
    定義: 価値提供を構築するブロックは特定の顧客のために価値をつくり上げた製品やサービスを提供する
    解説:
      価値提供は顧客の問題を解決し、顧客のニーズを満たすものである。
      目的で選別された顧客の要求に対応するプロダクツやサービスのバンドルで構成される。その意味では、価値提案は顧客に提供する利益の集合体またはバンドルである。
      ある提案はイノベーティブで、新しく破壊的提案であるかもしれない。他の提案は何かの特徴や属性を加えたもので、現存マーケットでの提案と類似しているかもしれない。
  3) チャンネリング
    定義: チャンネル構築ブロックは価値提案を届けるために、選ばれた顧客に如何にしてそれを到達させ、コミュニケーションさせるかを記述する
    解説:
      コミュニケーション、配布、流通チャンネルは会社と顧客とのインターフェースを包含する。
      流通チャンネルは顧客との接点であり、それは顧客体験上の重要な役割を果す。
      流通チャンネルは下記に示す数種の機能を果す。
      会社の製品やサービスに付いて顧客の中での認知度を高める
      顧客に会社の価値提案を評価することを手助けする
      顧客に所定の製品やサービスを購入させる気にさせる
      顧客に価値提案を届ける
      購入後の顧客のサポートを提供する
  4) 顧客関係性構築:
    定義: 顧客関係性構築ブロックは特定選別顧客と確立した関係性の型について記述する
    解説:
      会社は夫々の選別顧客と構築したい関係性の型を明らかにするべきである
      関係性は個々人的なものから企業間で行われるものまで範囲を広げることができる
      顧客関係性は下記に示す動機によって誘因してもよい
①顧客獲得、②顧客維持、③売上げ向上
      例えば、モバイルネットワークオペレータ顧客関係性の初期段階では、無料の携帯電話提供という侵略的な(aggressive)顧客獲得戦略によって誘導する。
      顧客関係性は会社のBMによって全般的な顧客体験に深く影響をもたらす
  5) 収入源:
    定義: 収入源構築のブロックは会社が夫々の選別顧客からキャッシュを産み出し仕方を説明する(収入からコストを削除して収益となる)
    解説:
      もし、顧客がBMの心臓部を構成されるならば、収入源は動脈となる。会社は夫々の選別顧客がどのような価値のために喜んで金を支払ってくれるかを調査しなければならない
      成功させるには夫々の選別顧客から一つ以上の収入の流れを産み出すようにする。夫々の収入源は異なった価格メカニズムを持つ。例えば固定のプライスリスト、割引リスト、オークション方式、マーケット依存性、量的依存性、Yield Management
  6) 主要資源:
    定義: 成功の鍵となるBMをつくるのに必要な最も重要な資産類を記述する
    解説:
      どのBMもKRを必要とする。これらの資源は企業が価値提案を考え提案し、マーケットに接近し、選別顧客との関係性を維持し、収入を確保する。
      BMのタイプによって異なるKRが必要とされる。マイクロチップ製造業では資本集約的な製造設備を必要とするが、そこではマイクロチップ設計者はより多くの人的資源を必要としている
      KRは物的、金融、知的、人的資源等で、企業が所有しても、リースしてもまた、主要パートナーから獲得することもできる。
  7) 主要活動:
    定義: 鍵となる活動を築き上げるブロックは会社がBMを働かせるためにする最も重要なKAを記述する
    解説:
      すべてのBMは数多くのKAを要求する。これらのことは会社が成功裏に運用すべき最も重要な活動である。
      KRは企業が価値提案を考え提案し、マーケットに接近し、選別顧客との関係性を維持し、収入を確保するために必要な活動である。
      KRと同様に、KAはBMのタイプによって異なる。例えばソフトウェアメーカーであるマイクロソフトの場合KAはソフトウェア開発を含む。
  8) 主要パートナー:
    定義: KPを構築するブロックBMを働かせるサプライヤーやパートナーのネットワークを記述する。
    解説:
      会社は多くの理由で、パートナーとの提携関係を築き上げ、提携関係は多くのBMの土台となる。
      会社は彼らのBMを最適化し、リスクを減らし、資源を獲得するためにするために提携する
      KPは下記の4つの型に識別できる
      非競合者間の戦略的提携
      competition:競合者間の戦略的同盟
      Joint Venture:新しいビジネスを開発するためのJV
      バイヤ/サプライヤー間の提携:信頼性ある提供を確保するための提携(例えば重要資源の確保)
  9) コスト構造(CS):
    定義: コスト構造はBMを運営するために負うすべての費用を記述する
    解説:
      CSを築き上げるブロックは特殊なBMの下で運用される間に発生する最も重要な費用を記述する。
      価値を創出し、提供し、顧客関係性を維持することで発生する費用。
これらの費用はKR,KA,KPを定義した後では比較的容易に産出できる
      ある種のBMは他よりコストドリブンであったりする。例えばいわゆる虚飾のない航空会社は全体的に低コスト構造のBMを築いた。

  (2) キャンバスはどのように使うか
    キャンバスの各ブロックにおいて、一つでも他にないユニーク差があるとBMとなる
    通常は複数のブロックの組み合わせによるユニーク差でBMを構築する。そのために関係者は各ブロック上で自らのビジネスの特徴をブレーンストーミングし、ユニーク差をつくり上げることが求められる。
 このようにキャンバス上でつくり上げたBMの例を次回「BMのパターン」で紹介します。
以上
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