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「ダイバーシティ時代のプロジェクトマネジメント」
~振り返り、その結果を次に活かす力~

井上 多恵子 [プロフィール] :1月号

 先日慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の石倉洋子氏の話を聞く機会があった。毎年年末には、その年にやったことを振り返り、何ができて何ができなかったかを棚卸し、それを踏まえて翌年何をするか、計画を立てるという。ここまでは、成功していると言われている人に多く見られる行動だが、石倉教授がすごいのは、その際に「見限る」ものも決めるということだ。「これはやってみたけれど、うまくいかなかった。これ以上ここに時間をかけるのはやめて、その労力を、より結果が期待できるものに注ぐ」。できないことに必要以上に執着せず、強みにフォーカスする、という考えと一致するものがある。2012年度をポジティブに生きるために、この考えは有効に思えた。

 そこで、私も石倉教授のやり方で棚卸をしてみた。
1. PMAJ協会
PMAJ協会の発展のために、私ができたこと
PMAJ協会の講師として、できるだけ質の高い講義をするよう心がけた。その結果、今年は活躍のフィールドが広がるのではないか、と期待している。
On-line Journalへの寄稿の締切日に遅れて岩下編集長に多々ご迷惑をおかけしたが、穴をあけることなく、毎回執筆した。
できなかったこと
広報部会のメンバーとしての貢献はほとんどできなかった。岩下編集長、ごめんなさい!
協会のメンバーのスキルアップは本来ミッションではないけれど、何かやれたのではないか、と思う。メンバー一人ひとりが皆のスキルアップに協力する、という意識を持てば、協会が組織としてより強くなれるのではないだろうか。
2012年度への期待
新マネジメントのもとで、新しい人脈・考え方をもとに、PMAJ協会の認知度が高まり、今後継続・発展していくためのベースが作られること

2. 社外団体活動
できたこと
このジャーナルにも記載したが、参加して数ヶ月間は慣れない環境で、参加したこと自体を悔やんでいた。しかし海外研修の実施を受け、この団体における位置づけ/貢献できる分野が見え、私自身の軸が定まってきた。途中でつぶれて投げ出さなかったことは、これまでの私から考えれば大きな進歩だ。私が実践していきたいのは、皆を包み込むようなリーダーシップ。
2012年度への期待
自分なりのリーダーシップを確立すること。メンバーがグローバルに活躍できるよう、支援すること。

3. その他
できたこと
ITに対する苦手意識が、ほんの少しだけれど和らいだ。Evernoteをはじめ、Facebookをやるようになり、かつての友人たちや新しく知り合いになった 人たちとつながった。
観察力を高めなければ、という意識に始めてなった。人の表情ばかりをいつも見てきたけれど、どんな服を着ているのか、手をどう動かしているのか、については無頓着。結果、自分が同じようなことをしないといけない際、やり方がわからず上手くいかないということに、気づいた。単に不器用だから、というのではない。例えばビュッフェでの食べ物のとり方。前の人のとり方を観察せず食べ物を見ていたり、他のことを考えていたりしている。昨夏、14歳の姪っ子の優れた観察力に接し、開眼。
できなかったこと
Facebookでできたつながりを活かして何かを起こすことはできなかった。
観察力を高めなければ、という意識にはなったけれど、習慣化することは難しく、気づいたら観察することを忘れていたことがしょっちゅう。
断捨離。捨てることに対して私はこんなに未練があるのか、と愕然とした。捨てたのはかけていたお皿と相当古い服だけで、整理整頓が進んでいない
本の出版。企画は出版社に提出したものの、再チャレンジとなった。世の中の人の手に取ってもらえるものをつくるのは、実に難しい。

2012年度への期待
Evernoteをもっと活用し、資料を探す時間の短縮と物を減らすことを実現したい。
観察力を高めなければ、という意識が今年度末も残っていること。そうすれば、何十回に一回ぐらいは、観察できるはず!できれば無意識にできる状態にもっていきたい。
本の出版になんとかこぎつけたい。そのためには、世の中が求めていることに気付く観察力が必要。

見限ること
自分の弱点を卑下すること。記憶力が悪い、要領が悪い、不器用。山積みの弱点に対して卑下したくなるけれど、それをしても進歩がないばかりか、自分だけでなく周りも暗くしてしまう。改善はしたほうがいいけれど、それらにあまり捉われないようにしたい。そして、表面上のスキルやテクに振り回されること。「この方法でやろう!」と決めても、他の人が別の方法でやっているとそっちのほうがいいように思えてきてぐらついてしまう。結果、いろんなことが中途半端になってしまうのを変えたい。

最後に、2012年度の抱負。
「傍観者や調整する人ではなく、自らの言葉で語り、実際に関わる人」への転換がしたい。読者の皆様、よかったら皆様の挑戦もぜひ教えてください。
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