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2012年、今年最初の随想雑感

月島機械 PMR 川崎 淳 [プロフィール] :1月号

 PMAJの事務所を少し歩くと皇居にでる。皇居周辺と言えば都内でも有数のランニングスポット。「東京マラソン」の開催をきっかけにランニングブームに火がつき、仕事帰りに皇居周辺を走る人は多い。千代田区の調査では、18~21時の3時間に4,500人ものランナーが確認されているそうだ。顔ぶれも老若男女を問わず、皆さん元気いっぱい、寒風なんて何のそのである。東京マラソンの最終調整のために、わざわざ地方から出向いて来られる人たちもいるそうな。いやはやランナー達の聖地である。

 その東京マラソン。たしかに華やかなイベントだが完走するのは大変なこと。しかし、もっと大変なのは、そのスタートラインに立つことである。主催者の発表によると、今回の申込総数は約28万4千人、抽選倍率は10倍近くに達したとのこと。今や人気アイドルの公演チケットを入手するよりも至難の業である。昨年からはどうしても出たい人のために?一定額以上を寄付すれば参加できる制度をつくり出場枠を広げている。一見、欲しいものはお金で解決する的な胡散臭さはあるが、お金の使い方は立派だから問題ないでしょ、ということかも知れない。ちなみに昨年の寄付金総額は7300万円。すごい額である。今年の寄付金の一部は、建築家の安藤忠夫氏らが創設した「桃・柿育英会」等の被災者支援団体を通じて震災復興事業に使われるという。

 その安藤忠夫氏。ちょうど震災が起きた3月の日経新聞「私の履歴書」でこれまでの半生が綴られていた。安藤氏と言えば、言わずと知れた独学で建築を極めた日本を代表する建築家である。連載の締めくくりとなる3/30付(#29)、3/31付(#30)では、「日本人には素晴らしい国民性を持っている。繊細で綿密、探求心が強く勤勉な民族として海外からの評価も高い。この国民性を以て厳しい現実に向き合い3度目の奇跡(1度目の奇跡:明治維新、2度目の奇跡:敗戦復興)を起こそう(全文から一部抜粋)」と語っていた。都市づくりの巨匠の言葉だけに深く心に残ったことを今も憶えている。早いもので、まもなく震災から1年。あらためて震災の被害にあわれた方々に心から哀悼の意を表しつつ、一刻も早い復旧・復興を祈ってやまない。

 その復旧・復興活動。PMAJにも係わる多くの企業・人たちが今も休む間を惜しんで復旧・復興活動に尽力されていることを耳にする。原発問題、生活基盤復旧、がれき処理等々、その活動範囲はとどまることを知らない。そうした活躍は大きく報道されることはないが、同じ業界の仲間として彼らの勇気と使命感に溢れた奮闘に対して感謝を忘れてはならない。きっと近い将来、こうした志士たちが現場で得た多くの経験をもとに現代史における我が国最大のプログラムマネジメント事例として記録され、後世に語り継がれていくのだろうと思う。
 2012年が良い年でありますように。
以上

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