グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第57回)
日本人のグローバル能力向上に資する融合型教育について

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :12月号

 人生60歳を過ぎると、いや最近は社会人も稼働年限が上がっているので65歳をすぎると、云うべきか、長く寄りつかなかった母校が恋しくなるものだ。
 私もそのひとりで、昨年から東京の多摩地区にある居住市の出身大学OB会に参加して楽しくやっている。このOB会は、近年高齢化が進みまさにオールドボーイとオールドガールの会であったようだが、幹事長や幹事の方が、種々の情報から、市に在住のOBをしらみつぶしで探し出し、一本釣りで新会員を獲得した。その数、それまでの会員数の60%相当であり、OB会を行う市民ホールのいつもの会場も入りきれなくなってきた。
 私が住む町田市は、新宿から小田急線の急行で35分の位置にある。高度成長時代に管理職(だいたい課長職)であり、親の家も含めて都内23区に家を持たないサラリーマンが家を買えて、それほど苦痛なく都内に通勤できた住宅地帯というのが位置づけである。
 町田は、明治時代、八王子から横浜に生糸を運ぶ街道の中継地であり、新撰組の古さと、自由民権運動の本拠地であったが、多摩丘陵の南限にあたり、かつては故遠藤周作氏の柿生近辺がタヌキの里であれば、我が家のあたりはタヌキの棲みかであった。実際に、前の家の坊やは、家の近くで仲良くなったタヌキを飼っていた。
 そのようなことで今月OB会に出席したら、今や確たる成果をあげた方々と交流ができて時間がとても足りなかった。今をときめく、し新興エアライン(いわゆるLCC)の社長が2名いたことには本当に驚いた。また、10月には体育会応援指導部の部長をやっていた副会長のお世話で、神宮球場の学生席で東京六大学野球の早慶戦を観戦出来て、40数年前にほぼ毎週末神宮に通った4年間が蘇って、わくわくして応援に加わった。4年間通った成果で、両校の校歌と応援歌はいまでもかなり覚えている。わが校の方の江藤監督は同期であり、応援にも一段と力が入る。
 神宮では選手も応援指導部の幹部も出身高校を含めて紹介されるが、応援指導部では慶應も早稲田も帰国子女が数名入っており時代の変化を実感する。また、チアリーダーズのパフォーマンスの多様化もすごい。

 一方、前々月号でも述べたが、私は、ご縁があって慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)が3年計画で進めている ”Grand Design by Japan” プログラムの協力教員を務めており、今月は11月12日、13日、23日と休日を3日使用しての”Project and Program Management for Grand Design”と題する一日正味8時間の講義を行った。
 教師のレクチャー、クラスの討議、演習の発表と全て英語で行うもので、講義は、プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメント全般を高速で教えるレクチャー、プロジェクトマネジメントの演習とプログラムマネジメントの演習、課題レポート提出で構成され、米欧で実施しているレベルを貫いた。教室での参加者は教授、准教授、大学院博士課程生・修士課程生、社会人であり国籍は日本と外国(米国、韓国、モンゴル、中国、台湾、ベトナム、インド)半々であった。
Grand Design by Japan Programの本拠地日吉キャンパス協生館 セミナーのレクチャー風景
Grand Design by Japan Program
の本拠地日吉キャンパス協生館
セミナーのレクチャー風景

 成果は一言でいえば、日本でもこのようなグローバル級の講義ができるのだと教師として実感したことと、プロジェクト & プログラムマネジメントのフレームは多様な背景を有する受講者の価値とナレッジ共創のための場をつくり、成果獲得に向けての見える化を行ううえで有効であるというフィードバックが集まりつつある、ということである。
 そして完全に英語での講義であるので、日本人の受講生には世界へのアクセスを早める効果がある。
 プログラム統括者の姉川知史教授の提唱されているグランドデザインに資するシンクタンク的リサーチと月次フォーラム運営、そして融合教育(multi lateral teaching and learning)・・・今回の上記のセミナーはその実験授業である・・・は実に刺激的である。

 このセミナーは、グローバルなプロジェクトマネジメントメディア PMFORUM で紹介されていますので、  ご覧ください。   ♥♥♥

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