ヤングコーナー
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プロジェクトマネジメント「学ぶ」と「使う」

千葉工業大学 邨井 千尋 [プロフィール] :11月号

[はじめに]
 私がプロジェクトマネジメントを知ったのは高校3年生の進路決定の時期でした。当時は進路について深く考えておらず、ただぼんやりと大学のパンフレットを眺めていました。その時、目に留まったのが「プロジェクトマネジメント学科」の文字ではなく、学科の就職に関するデータでした。不純な動機ですが、それを見てからプロジェクトマネジメントについて興味を持ち調べるようになりました。本や雑誌でプロジェクトマネジャーとしての体験ややりがいについて語る社会人を見て、「自分も学んで仕事に役立てたい」と思い始め入学することに決めました。

[入学後]
 入学した当初の講義は慣れない環境の中で、聞きなれない単語を必死にノートにまとめ、暗記するような勉強が続きました。“WBS”や“クリティカルパス”、“EVM”などの意味については聞いていましたが、その使用方法や意義などは深く理解していませんでした。入学して1年と半年が過ぎると、私たちには2年後期~3前期のおよそ7カ月をかけて擬似的にプロジェクトを進めるPM実験・演習という授業があります。当時の私は1年半プロジェクトマネジメントについて学び、すべての単位を取得していたこともあり、達成できる自信をもってPM実験に取り組み始めました。

[疑似的プロジェクトをやってみて]
 PM実験・演習では、プロジェクトは自分たちで考えたソフトウェアの管理システムの企画から納品までを行うものでしたが、企画の段階から数々の問題が起こり、それを良い方向に修正できない自分の力の無さに自信を失いました。「自分たちの力でどこまでシステムが実現可能なのか把握できていない」、「WBSはどこまで詳細化しなければならないのかわからない」、「EVMをみて遅延やコスト超過があっても、それに対して対策が打てない」など、これ以外にも多くの失敗がありました。例えるなら、私は野球のルールだけを覚え、それだけで試合に勝てる気になっていたのです。

[実験・演習からの気づき]
 では、どうしたら試合に勝てるようになるのでしょうか。それは「身体で覚える」という古臭い根性論こそが大切ではないかと考えています。野球の練習はキャッチボールから始まり、ノック、バッティング練習、走り込みなどを繰り返し、試合をして、問題点を見つけ、さらに練習を繰り返します。そうすることによって技術を身につけていきます。もちろん野球だけではありませんが、私たちPM学科の学生にも同じ様な繰り返しが必要なのです。WBSの作成ができないのであれば参考書を見るだけでなく実際に書き、ガントチャートを実際にソフトで作ります。そして、PM実験のような場で疑似的に実践に近い経験を積み、できなければ、さらに繰り返すといった形が必要なのです。
 しかし私たち学生には、圧倒的に実践経験の場が足りません。社会に出れば経験の場は数多くありますが、それを待っていては学生の中からプロジェクトマネジメントを専門に学んでいる者として、あまりに遅い行動といえます。就職活動に向け、他学科、他大学の学生と差をつけるために、自ら実践経験する場を求め、貪欲に動いていくことが私のこれからの目標です。
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