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リスクマネジメントについて思う

浅田 誠 (会員活動担当副理事長、リスクマネジメントWGリーダー) [プロフィール] :11月号

2004年の秋に発足させたリスクマネジメントWGでは、10名のコアメンバーで議論と検討を重ね、アウトプットとして2007年8月に「ITプロジェクト 実践リスクマネジメント・ガイドブック」(略称GB-1)を刊行しました。
 その後約1年間、PMAJにおけるセミナー、或いはWGメンバー各社における紹介等を通じて普及にあたり、その中で挙げられた指摘・要望等に応えるべく第2ステップを2008年秋に6名のメンバーでスタートさせました。
 わかっていたつもりのことでも、実際の活用にあたっては頭を悩ませたり疑問に感じられることを中心に議論を行い、その整理結果を「ITプロジェクト 実践リスクマネジメント・ガイドブック -Ⅱ ~疑問に答える~」(GB-2)として2010年9月に刊行しました。
 ITプロジェクト、その中でも特にSIプロジェクトをまともに終えさせるための、わかり易く実践的なガイドブックを作る、という当初の目的はこれで一応達成できました。
 まずは引き続き、この2冊のガイドブックを大いに活用していただきたいと思います。

 さて上記第1ステップ・第2ステップの議論と検討の中で、リスクマネジメントがうまく行われない原因は大きく言うと次の3つであることがわかりました。
原因 足りないもの・不十分なもの
1.知らない
(こうだったらこうなる恐れがある、それにはこうすればよい を知らない)
知識不足(勉強不足・教育/周知徹底不足)
経験不足
2.知ってはいるができない
応用力不足
察知力不足、勘/感性不十分
洞察力不足
認識不足
環境不良、組織風土不良(上位者・上位組織の“無知・無理解・無能・無責任”その他)
説得力/折衝力不足
信念/勇気不足
3.やったけれども適切でない
機能不全(分析力不足 その他)

 このうち“知らない”については、完璧を求められると色々あるかもしれませんが、打つ手は一応わかり易いのではないかと思います。 また“やったけれども適切でない”も何とかなるのではないでしょうか?
 しかし“知ってはいるができない”は少々厄介です。察知力や勘/感性などは個人的な資質に基づく部分が大きく、簡単に向上するものではありません。また、環境や組織風土の不良は、組織を率いるリーダーやトップの無知・無理解・無能ということが考えられます。更には、私利私欲しか考えていないとはいわないまでも結局は無責任であるという場合もあるかもしれません。また、お客さまや組織の上位者の説得や折衝の面において、簡単には行かない、理屈通りには行かないということも多々あるのではないかと思います。

 ではどうすれば良いのかと言うと、察知力や勘/感性などについては、例えば“類推する/想像する、自分の頭で考える、気付こうとする”というようなことを心がけることを通じて地道に鍛えていくしかないのではないでしょうか? (東日本大震災に伴って認識されるようになってきた“想定外も想定すること”などもこの一環かもしれません)

 また後者の環境不良や組織風土不良に関しては、組織を率いるリーダーやトップは、無知・無理解・無能、或いは無責任、になっていないか、常にわが身を省みること、そして実際に苦労しているメンバーは、それらの障害を突破する説得力/折衝力、信念/勇気、などを持つことではないでしょうか?
 言うは易し、行うは難し、とは思いますが、結局はこれらが克服されない限り、プロジェクトのリスクマネジメントがちゃんと行われるレベルにはほど遠いことにならざるを得ないのではないでしょうか?
 これらのことを含めて、当リスクマネジメントWGでは、次の取り組みテーマについて模索中です。ご意見等ございましたらお寄せ下さい。

  IT-SIG,内容にご意見ある方、参加申し込みされたい方は こちらまでメールください。歓迎します。

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