理事長コーナー
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災害とPM

PMAJ理事長 光藤 昭男 [プロフィール] :11月号

 先月の本誌にて、「今年は本当に災害の多い年」であることに触れました。 その後も国内に限らずタイとその周辺国で大洪水が進行中で、どこまで降り続くのか先が見通えません。 そのさなかに、トルコ東部でM7.2の大地震が起きました。 先進国の財政危機が取りざたされている状況の中、次々に起こる大災害は地球環境から警告だとしても、それを克服して行かねばならない大きな困難であることには間違いありません。

 今年のIMPA(50ヵ国加盟の欧州中心のPM協会、)の年次大会は、オーストラリア国クイーンズランド州ブリスベン市で開催されました。 実は、この州は通常水不足に悩まされますが、昨年末から3か月に渡り歴史上まれにみる大豪雨に襲われました。 2010年12月3日の集中豪雨(120mm)をかわきりに、同月23日に最大600㎜の豪雨が終わらない中、25日には熱帯サイクロン・ターシャ(Tasha)、年が明けても継続的な大雨が降り続き、1月31日には再度サイクロン・アンソニー(Anthony)が来襲、2月3日には米国を襲ったハリケーン・カトリーヌと同規模のカテゴリー5の最大風速79m/時のサイクロン・ヤシ(Yasi)に追撃されました。 BBC情報では、死者は35名、推定損害額300億豪$(2兆5千億円)、豪州GDPに与えた影響は3000億豪$(25兆円)下げたと云われています。 当時の写真とビデオがネットで公開されていますが、驚くばかりの悲惨な状態です。

 しかし、復旧再建は素早かった。 災害のあった翌2月には、クイーズランド再建局(QRA:Queensland Reconstruction Authority)はプロジェクトを立ち上げ、IPMA の大会のあった8か月後の10月上旬には、その様な大災害に有った街かと疑う程のみごとさで主要施設やインフラは復旧させていました。 プロジェクトミッションは、いかに早く市民の日常生活を回復させるかとし、優先度を最高に上げ、Project & Program Managementを実践したのです。ラグビー世界選手権の最中であったので、“ラクビーで鍛えたOG魂による気合とスピード感こそがプロジェクトで重要だ”とQRAのCEOが説明しました。

 この大洪水の状況は、日本のメディアも報道していましたが、3月11日の東日本大震災以降は手が廻らなくなったのだと思いますが、日本では報道はほとんどありませんでした。 被害の質量の差はあるとはいえオーストラリアが短期間で復旧出来て日本で出来ないことはないはずです。 一方、米国PMIは、代表者がこの10月20日に連邦緊急事態管理局(FEMA)に関する上院議会のパネルにて、Tsunamiなど意識した国家規模災害の再建に対して、PM標準の普及と日常的PM人材の育成の重要性などを証言しています。(PMI HP) 縦割り専門家組織を効果的に活かせる計画力・実行力の醸成は、日常からの危機に備える適切なルール作りと訓練の繰り返しが重要なことは言を俟ちません。

ご参考までに、ネット情報を付けます。
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以 上
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