理事長コーナー
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大震災で感じたコミュニティの大切さ

PMAJ理事長 光藤 昭男 [プロフィール] :10月号

 今年は本当に災害・事故の多い、日本人にとって大変苦しい年です。中でも、3月11日の東日本大震災、大津波、福島第一原発の事故は飛び抜けて大きく、被災された方々が想像を絶する辛い状況に置かれていることに深い悲しみを覚えます。一方、復旧・復興へのスピード感のない動きには苛立ちを感じます。

 山の様な瓦礫の中で、またやっと避難した仮設住宅で、お互い譲り合い助けあう姿は、特に海外から賞賛を込めて報道されました。 例をあげれば、「日本国民がこの歴史的な災禍に冷静さを保って対応したことは、米国内では・・・一様に感嘆させた。日本人がこうした状況下で米国でのように略奪や暴動を起こさず、相互に助け合うことは全世界でも少ない独特の国民性であり、社会の強固さだ、と強調した」(産経ニュース2011年3月24日付要旨)ことが記載されており、新しい“絆“の芽生えを感じます。

 近代における日本人の“絆”は、家を中心とした家族・親戚コミュニティ中心でしたが、高度成長期に職を求めて工場地域に移動した多くの人にとって職場が安心できるコミュニティとなりました。バブル崩壊の前後から、若い世代がその様なコミュニティを重荷と感じだし、職場を中心とするコミュニティは徐々に崩れ始めています。車社会の拡大がそれに拍車をかけたかもしれません。また、インターネットの普及が若い人の気持ちをつないでいるのかもしれませんが、一方で、人と人との絆が年々希薄になり、孤独感に悩む人が増えつつあることも事実です。

 大震災は、直接被害のなかった日本人にも様々なショックを与え、忘れかけていた日本人の絆を取り戻す機会を与えてくれたのではないでしょうか。日本人の心の持ち方や行動様式を変えるかもしれないという識者の声も聞こえてきます。

 さて、PMAJへの期待の一つに、PMプロフェショナルのコミュニティの形成があります。プロジェクトチームの責任者であるPMは、その使命達成と責任のゆえに孤独な立場に立たされることが多々あります。これを震災と同列で語るのは失礼かもしれませんが、お互い役に立つだけでなく、一緒にいることで安心できる、横の確かな繋がりのある、その様な温かいPMAJコミュニティを作り上げて行きたいと思います。 みなさまのご支援・ご協力、アドバイスを頂ければ幸いと存じます。
以 上
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