研究会報告コーナー
先号   次号

「環境ビジネスとP2M」調査研究委員会に参加して

月島機械株式会社 栄川 満 [プロフィール] :11月号

 今から4年前、私は中東で排水処理設備建設のプロジェクトに携わっていました。当時は初めての海外プロジェクトということもあり、右も左も分からないままがむしゃらに働いていました。現場で問題が起きれば即、現場に赴き頭を抱え、文化の違いから日本流のやり方が通じなければ戸惑い、何をどうして良いのか分からなくなり途方に暮れる、そんな日々を繰り返していたように思います。そのような日々を過ごす中、いつしか自分の目的がプロジェクトを終わらせることから、問題を解決することに摺り変わっていき、何しに中東まで来たのか分からなくなる始末で、非常に苦い思い出となっています。
 帰国後、1年ほど経ってから今回の委員会の話を聞き、P2Mという言葉は知っていましたが内容を把握していない状況ではあったものの、海外プロジェクトに携わっていた経験が何かしら活かせるのではないかという思いで委員会に参加させていただきました。しかし、実際には経験を活かすどころではありませんでした。ミーティングを重ねるに従いP2Mへの理解が深めていくにつれて、プロジェクトでの行動がいかにいい加減であったかを思い知る場となっていきました。プロジェクトでの経験は活かすどころか、単なる反省材料へなっていき、未だに「もう少し、まともな動きができたのではないか」と思う日があります。
 海外プロジェクトでの大きな反省点としては大きく2点あります。1点目は、仕事のやり方が自分の経験に基づく感覚的な流儀であったこと、2点目は発生した問題に対してあまりにも場当たり的な対処をしていたことで、結局は理論立ててプロジェクトに取り組み、プロジェクト全体を見渡せる広い視野を持っていなかったことが原因となっています。P2Mはプロジェクトに対する正解を与えてくれる訳ではありませんが、プログラムマネジメントによるミッションプファイリングによる価値と達成シナリオを明らかにするなど、プロジェクトを進めていくうえでの仕組み作りに必要な知識を提供してくれ、そのアプローチを構築することが可能になります。中東でのプロジェクトに関わる前からこれらの手法を知っていれば、プロジェクトの「あるべき姿」をしっかりと捉え、次々と起こる問題に対しても場当たり的な対応でなく、何のための解決かを見据えて行動できたのではないかと考えます。
 反省しているだけでは能がないので、次のプロジェクトでは中東のプロジェクトと委員会での経験を活かせるようにしていきたいと考えると同時に、これからプロジェクトに携わろうという方々には、目を通すだけでも良いのでP2Mに触れてみることをお勧めします。
ページトップに戻る