P2M研究会
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PK戦こそ醍醐味!

富士テクノソリューションズ 浜本 知一 [プロフィール] :11月号

 先日の皇室恒例秋の園遊会で、天皇陛下は女子サッカー・ワールドカップで優勝に導いた佐々木監督に「ペナルティキック(PK)は足でとめることもあるのですね!」とゴールキーパー海堀選手の美技を讃える問いかけをされ、周囲のほほ笑みを誘った。

 延長後半12分澤選手の同点ゴール。この同点ゴールでPK戦へ。対戦相手は勝利の美酒を目の前にまさかの同点、気も動転。優勝がかかった大一番、勝利の女神はどちらに・・
 PK戦を経験する者にしかわからないであろう重圧を背負い蹴るボールは、右か左か真ん中か? 笛や太鼓そして興奮と熱狂のサポーターの大歓声、衆人環視の中、勝利のため双方ミスは許されない。ゴールキーパーはどちらに跳ぶか?にらみ合いのかけひき。見守るチームメイトそしてサポーターの祈りと絶叫、さぁ・・どう蹴る――。
このPK戦の緊張感、興奮こそがサッカーゲームの究極の醍醐味なのである。

 サッカーは、そもそも点の入らないゲームである。入っても僅差が勝負を決める。無得点・同点でPK戦に持ち込まれることが多く、一方でPK戦に持ち込みたくない思いが混ざり合って苛立つ。そのイライラを選手とサポーターが共有し、一体となって試合が運んでいるといえる。そのため、チーム首脳陣と選手たちは常にPK戦を意識・想定してバックヤードで作戦を組み立てる。この試合がPK戦に持ち込まれる可能性はどのくらいあるのか?誰に蹴らせるのか?蹴る順番は?などを念頭において試合に臨むのである。

 サッカーに限らずどのスポーツでも、試合終了間際の緊張感は同じである。想定を超えた何かが起きる。逆転を予感してもどうにもならないあの瞬間がプレーする方も観戦している方も魅力なのだ。
 このPK戦について書いていて、女子プロゴルファー小林浩美(現協会会長)が夕刊のコラムに『なぜアマチュアのゴルファーは、最後のパットに安易にOKを出してしまうのか?最後のパットこそがゴルフの醍醐味なのに!』と書いていたのをふっと思い出した。
残り30センチの勝負のパットが外れて涙をのむシーンは数え切れない。そこにドラマがある―――とどくか、切れるか、入るのか? ドキドキはらはらのあの瞬間、あの緊張感と興奮こそが“ゴルフの醍醐味”であるハズなのに―――。

 視点を変えると、それはまた我々のプロジェクトの終盤にも同じことが言える。どんなに順調に進んでいるプロジェクトでも終盤になると、終息への障害、課題がチラつき顕在化してくる。どのような事態が発生しようとその解決策を考えて準備しておかなければならない。それがプロマネの仕事であるのは言うまでもない・・・何ごとも審判の吹く終了の笛がなるまで気が許せない・・・。
以上
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