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P2Mに出会って

国際協力機構 黒柳 俊之: [プロフィール] :10月号

P2Mとの出会い
 P2Mとの出会いは、今から8年前ウェブで「プロマネ」を検索していて、偶然P2Mがヒットしたことから始まるが、実はP2Mより前にPMBOKとの出会いがあった。
 私が勤務する国際協力機構(JICA)は、開発途上国の国づくり・人づくりを支援するため多くのプロジェクトを途上国で展開しているが、97年ころ私がフィリピンに駐在していたとき、JICAを通じ建設省(当時)から建設業の生産性向上プロジェクトに派遣されていた専門家がPMBOKの勉強会をしておられた。PMに関心を持っていた私は、この専門家にお願いしてPMガイドの日本語版を見せてもらったが、JICAでも使えるとそのとき思った。しかし、フィリピン勤務の後、事業とは全く関係のない報道対応を行う部署に配属となったので、PMBOKの存在すら忘れてしまった。しかし、また事業畑に戻りプロジェクトの構想づくりや実施監理を行う部署に配属され、JICAにも体系だったPMを導入したいという思いが強まり、前述したウェブ検索「プロマネ」をしていたところ、PMBOKではなくPMCC(当時)にヒット、「日本初(発)のプロマネ」という言葉が、私の心を奪った。すぐにPMCCに連絡を取り、翌日にはPMCCを訪問し、P2Mの話を伺った。

JICAとP2M
PMCCから話を伺った後、JICAでP2Mは使える、これを広めたいと思い直ぐにP2MのJICA事業への適用可能性調査を企画しPMCCに委託した。この委託調査の中にP2Mの理解を深めるためJICA職員10名が講習会に参加できるように取り計らってもらった。講習会の後は、PMCCの方や講師を交え必ず「反省会」をやった。この「反省会」は講習会が両国だったので、ちゃんこ屋でやった。両国のちゃんこ屋での「反省会」は大いに盛り上がり、このときできた人間関係は今も残っている。「関係性マネージメント」の成果ともいえる。この講習会を含む委託調査の結果、さらにJICAはP2Mに取り組むことになり、2006年には「プログラムマネージメント P2MのJICA事業への適用のための手引き」が作成された。そして、現在では途上国でのJICA事業のプログラム化がどんどん進んでいる。しかし、残念ながらP2Mの資格者はそれほど増えていない。それはガイドブックが高コンテキストのため職員にとっては、とっつきにくいためだと思う。

世界のP2M
 田中前理事長がウクライナでのP2Mの普及に尽力された。ウクライナの大統領が来日、管首相との会談後の共同声明で「ヤヌコーヴィチ大統領は、2006年に日本からの財政的及び人的支援を得た共同プロジェクトとしてキエフ工科大学に設置されたウクライナ・日本センター(JICAプロジェクト、筆者注)の活動及び実績を高く評価した。同センターの様々な活動の中でも、両首脳は、日本のプロジェクト・プログラム・マネジメント(P2M)に関する技術協力は、ウクライナ経済の多様な部門の発展にとって有益であったことに留意した。」と言及されている。私が最初に出会った「日本初(発)のプロマネ」がまさに現実となっている(オンラインジャーナル9月号「グローバルPMへの窓」(第54回)P2Mを知る首相の誕生へ、も参照)。
 JICA事業を通じ田中さんのようにP2Mを世界のP2Mにしていきたいと思っている。
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