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「プロジェクトマネジメントを学んで得たこと」

樋口 隼人 [プロフィール] :9月号

「はじめに」
 私がプロジェクトマネジメントを初めて知り、興味を持ったのは千葉工業大学でオープンキャンパスが開催されて時でした。プロジェクトマネジメントという言葉に馴染みがない私はスケジュール管理やメンバー管理を学ぶという話を聞き、非常に興味が湧いたため、入学を決意し、入学をしました。大学2年次までにはクリティカルパスの算出方法やメンバーへの指示のやり方、WBSの作り方等、様々なプロジェクトマネジメントに関わる方法論の学習を行ってきました。

「入学してからの葛藤」
 大学へ入学してからはプロジェクトに関わる知識もなく、一からのスタートとなりましたが、プロジェクトへの興味、そして何よりもプロジェクトマネジメントを学びたいというモチベーションも非常に高かったため、授業を受け勉学に励んできました。
 しかし、さまざまな講義を受講していく中で、この学習に意味があるかということに疑問を持つようになりました。

「プロジェクトマネジメント演習の中での気付き」
 私の大学では3年次より、プロジェクトマネジメント演習という授業が始まります。これは半年間をかけてシステムの提案から納品までを行うという授業です。そこで私は幸運にもプロジェクトマネージャーに任命されました。演習は特に大きな問題もなく、最後の評価まで進みました。評価を行っていくと、問題が少ないと思われていたプロジェクトには多くの問題があることがわかりました。その問題の中には、私が作成したスケジュールにも問題があることがわかりました。スケジュール作成の時点で、システムを作っていく過程で作成する書類もその内容もほとんど初めての経験であったため、過去の資料を参考にシステムの規模を考慮しないでスケジュールを作成したことが大きな失敗の原因でした。
 原因を考えていく過程で、「これをしておけばよかった。」「これは授業で聞いたことがあった。」などのとても興味深い内容の資料や手法が多く出てきました。今まで演習で作ってきたものと資料や講義の内容が結びついた時、「今までの授業が意味のあるものだったのだ」ということを感じることができ、初めてプロジェクトマネジメント学習は面白いと感じました。

「プロジェクトマネジメントの学習を受けて考えたこと」
 大学の講義ではプロジェクトマネジメントの学習は受講し、言葉の意味を覚えているだけでまったく自分のものにはなりませんでした。何故かというと、演習というシステム開発を実際に行う場があっても自分の持っている知識と演習の状況を結び付けるのはとても難しいことだったからです。そのため、このような貴重な経験から少しでも講義と実践を結び付け、自分のものにしていくことが非常に大切であると感じました。
 私の在籍している学科ではプロジェクトマネジメントの学習により即戦力になれると謳っています。しかしながら、私の考えとしてはプロジェクトマネジメントは、社会に出てすぐに使える道具ではなく、これから社会に出て学んでいくための小さな助けにしかならないのではないかと考えています。それは、実践を経て初めて理解し、自分のものになると思っているからです。

「最後に」
 私はこれから就職活動が始まります。先輩方から経験談を聞いてみると、企業の面接などでは「プロジェクトマネジメントの知識があっても活かせなければ意味がないのではないか?」ということを問われるという話をよく聞きます。知識があるのに実際に使えなければ中途半端なものだと思います。しかし、プロジェクトマネジメント演習をいう経験から言えることは、終盤に行うプロジェクト評価で重要性や問題点に気がつくものなのではないでしょうか。
 たしかに、学生の内から実際にプロジェクトを経験する場を設け、経験をしていくことは容易ではありませんし、学生自身も実践の場を探して経験をしていかないことには自分のものになりません。
 私は自ら実践の場を探し、経験不足を補うことで、講義で得たプロジェクトマネジメントの知識を自分のものにしていきたいと考えています。
 プロジェクトマネジメントは変化の速い分野ですので、卒業したからこの分野の勉学を終えるのではなく、日々問題提起をしていくことでプロジェクトマネジメントの勉強を今後も続けていきたいと思います。
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