災害義援金の被災者への配分に思う
石原 信男:9月号
日本赤十字社などを通じて東日本大震災に寄せられた義援金は2,500億円を超えるといわれるが、災害発生から3ヶ月たった時点においてまだ全体の15%程度しか被災者の手元に配分されていないそうです。
集まった義援金は、被害状況に応じて関係する県や都に配分された後、市区町村を通じて被災者の手元に届けられる仕組みになっているとか。しかし、スピードよりも公平性を重視した配分方法、その事務処理をおこなう自治体の職員不足などが配分の遅れを招いている根本的な原因となっているといわれています。
たしかに、配分の公平性は軽視できないポイントですが、このような異常事態の発生の際には、完全な公平性を求めるということはどのように時間をかけて検討したところで、まず不可能といっても過言ではないでしょう。100点満点のうちの60点程度で先ずは配分を急ぎ、どうしても不公平感が残る部分は国の方針という形で 「完全な公平さよりもスピードを優先させた方が被災者の方々に役立ち、かつ、義援金に込められた多くの善意に沿うものである」 ということを被災者の皆さんに訴え理解してもらうことが必要かと考えます。
このような緊急事態においては被災者の多くは早く現金を必要とするものです。同じ100という金額でも、遅ればせで手にできた100の効果よりも、速やかに手にできた100の方が120にも130にもの感覚的な有用性に結びつくことは容易に想像できます。
東日本大震災の被害者の多くは、国や東京電力からの助成金や補償金以前の問題として、今日、明日の生活費(目前のキャッシュフローの入り)を早く必要とする方々が数多くおられるはずです。
この厳しい状況を勘案するならば、 「公平性よりも早いタイミングでの配分が優先する」 ことにあると考えても決して間違いではないと私自身は思っています。 この機会に、「時は金なり」 このたとえを被災者の皆さんのためにも義援の善意を生かす意味からも、あらためて深くふかく考える必要があるのではないでしょうか。
私としては、災害救援対策プロジェクトの一環として、善意に満ちた多くの義援金が本当にこれを必要とする方々に一日でも早いタイミングで配分されることを切に願うものです。
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