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今後のP2M & PMAJに期待したいこと

PMR 古澤 理 [プロフィール] :8月号

 ひさびさの投稿の機会を頂いたものの、私の現職は内部監査のためプロジェクトに直接関与することがありません。そこで、監査人の立場から「情報サービス産業に関するプロジェクト管理」について、「今後のP2M & PMAJに期待したいこと」を思いつくままに書かせていただこうと思います。

 私が、「今後のP2M & PMAJにぜひ期待したいこと」はP2Mの「個別マネジメント」に、以下二つを加えていただけないかというものです。なお、P2Mのテキストや体系の趣旨は、「高い視点からプロジェクトおよびプログラムをとらえ、その行動指針を体系化した実践的ガイドライン」のため、個別マネジメントではなく、たとえば、事例といったものの方が良いかもしれません。

 「個別マネジメント」に加えていただきたい一つ目は、日本特有の制度に対応した「コンプライアンスマネジメント」です。
 コンプライアンスマネジメントでは、プロジェクト活動時に遵法等の観点から気をつけなければいけない、①三六協定、②下請代金支払い遅延等防止法、③労働者派遣法、④職業安定法施行規則第4条、⑤労働省告示第37号、⑥建設業法、⑦機密情報管理、⑧自治体系のお客様の再委託禁止条項、⑨オフショア禁止条項、⑩外為法、などなどが該当します。
 P2Mの個別マネジメントを実践し効率的にプロジェクトを進めようにも、遵守すべきこれらのコンプライアンス対応は、制約条件となる悩ましいものではないでしょうか。

 「個別マネジメント」に加えていただきたい二つ目は、グローバルな会計コンバージョンや情報サービスにおける財務・会計の諸問題対応を含む収益認識に係る「バリューマネジメント」の改訂です。
 収益認識面では、①平成17年8月11日、経済産業省発行の「情報サービスにおける財務・会計上の諸問題と対応のあり方について」、②工事進行基準、③ロスコン引当計上、④売上計上についての総額、純額の区分などなどが該当します。
 プロジェクト進捗をEVMで捉えることや、スキームモデルにて仕様の確定を早期化していたとしても、適正な会計処理を実現するためにプロジェクト管理を二重に行なうような状況が発生したりしているのでは、ないでしょうか。

 以上、プロジェクトマネジメントは、ここにあげた私の思いつきや聞きかじりの内容を加えるだけでも、ますます複雑な状況だと思います。
 そこで、例えばプロジェクトライフサイクルの各段階単位に整理・熟慮頂き、マネジメント指針を示すことは、複雑なプロジェクトマネジメントに忙殺されているプロジェクトマネージャ各位にとっても有効なものになるのではないでしょうか。
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