図書紹介
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「ディズニーの教え方」  ――9割がバイトでも最高のスタッフに育つ――
(福島文二郎著、中経出版、2011年6月14日発行、第21刷、207ページ、1,300円+税)

デニマルさん:8月号

東日本大震から4ヶ月が経過した。しかし福島原発の事故による放射能問題、この夏の節電、エネルギー政策の転換等へと問題が発展してきているが、解決の抜本的な道筋が見えてこない。そんな暗い話題の中、サッカーW杯の日本女子代表(なでしこジャパン)が見事に優勝を果した。更にユネスコが「平泉」(岩手県)を文化遺産に、小笠原諸島(東京都)を自然遺産に登録した。また、あの大震災でもお客さんの安全を守るために全従業員が一丸となって活躍したニュースが紹介された。その影響か今回紹介の本は、現在最も話題性が高い。特にディズニーランドでは9割がアルバイトで運営され、そのサービスの基本について紹介している。そのスタッフがお客さんのために独自の判断で安全確保に努め、販売商品を救援物資として配ったり、通常ではあり得ないバックステージを避難路に使ったり等上司の指示が無くてもお客さんのために可能な行動をしたという。この話はテレビで報道されたのでこの本では触れていないが、お客さまサービスの基本が纏められている。

ディズニーの教え(その1:教え方)   ―― ミッションを正しく伝える ――
大震災時、園内には7万人の入場者がいて、5万強の人が帰宅できない状態であった。ディズニーランドのミッション(使命)は、「全てのゲストにハピネスを提供する」である。ミッションには優先順位があり、安全性>礼儀正しさ>ショー>効率である。この最優先ミッションを全従業員が確実に実行したのである。その結果、一件のトラブルもなかっただけでなく、ディズニーランドを再訪したくなる心温まるハピネスであったと報道された。

ディズニーの教え(その2:育て方)  ―― 自立するチャンスを与える ――
この本は、どうして非常事態時でもミッションが確実に実行されたのかを述べている。それも9割の従業員(この本ではキャストという)がアルバイトである。そのキャストが独自の判断でミッションを実行できる秘訣は、入社時からの徹底した人材育成であるという。その基本は、自分の仕事に誇りを持って「後輩」を育てる仕組みがあるからと書いている。全てのキャストが自立して判断・行動できる全社的な素晴しい育成の仕組みがここにある。

ディズニーの教え(その3:実践編)  ―― 東日本大震災で証明された ――
ディズニーランドでの防災訓練は、他企業とは比較にならない位徹底している。震度6の地震を想定して年間180回、2日に1度の割合でどこかの部門で訓練されている。これもミッションを確実に実行するためだという。その訓練の過程でキャストは育成される。お客さんの安全を守るミッションは、いかなる例外も設けないという普段からの訓練が今回の大震災時でも確実に実践された。それがお客さまサービスの原点である証明にもなった。

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