研究会報告コーナー
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環境ビジネスプロジェクト調査研究委員会に参加して

メタウォーター株式会社 國谷 正:7月号

①委員会活動について
 今回の調査研究は、日常の業務に埋没してP2Mに関する勉強を疎かにしていた自分にとってP2Mを勉強する、また自分の業界を振り返るいい機会となった。参加メンバーはPM業務を得意とする人、そうでない人が混在しており、ある意味異文化コミュニケーション的な要素もあり、いい経験となった。また、日常業務と業務場所の関係(業務場所からミーティング場所まで移動に2時間かかる)からミーティングにあまり参加できずメールでのやりとりが多くなってしまった。これは今の時代だからこそ出来る技では有るが、もう少し時間の工面をしてミーティングに参加すべきであったと反省している。
 今回小生はP2M要素の具体的適用という観点から自分野の水処理業界について調査を実施した。当初、調査内容については様々な意見があった。作業プロセスを重視する人、作業結果を重視する人、様々であった。誰のための調査研究か、水処理分野の人なら業界動向や課題なんて当たり前のものだ、今更何をするのか、といった意見もあった。各地域・各国での具体的なニーズが分かればいい、といった意見もあった。プロジェクトマネージャー経験者と未経験者で評価が異なる事もあった。調査の方向性として何を重きにするか非常に悩んだ。最終的には水処理ビジネスとしてどこで何をすべきかという結論ではなく、結論に至るまでのアプローチについての事例を示すものとした。

②P2Mについて
 P2Mは結果そのものではなく結果を導くアプローチ手法である
 統合化・拡大化だけが事業の選択ではない。製品製造販売のみでも市場をうまく押さえられれば十分なスケールメリットと事業規模拡大は可能であるし、事業規模は小さくても利益幅の大きい事業もある。一つの企業体が事業の全てを行うと言っても実際には企業体内で専門の子会社を設立しその企業集団をうまくコントロールしながら事業を推進する。各専門の子会社からみれば販売のみ、製造のみ、サービスのみ、となり、それぞれのオーナー・事業主に与えられるミッションの内容も異なる。立場によって必要となるプログラムは異なる。全体を把握しながら、自分の立場・役割を理解しながら、己に与えられたミッション・ターゲットをクリアするために邁進する。その企業体の単位が従来の日本企業規模から自治体・国家規模へと拡大しているのが現状ではないか。国や自治体の課題と企業の課題、個人の課題がリンクして共通の方向性を持ち日本・企業・個人の発展に繋がる事が重要ではないかと考える。

③これからの期待や希望など。
 いかなる行い(事業であれ、業務であれ、家庭の事であれ)も、自分の想いを明らかにし、具現化する事に意味がある。P2Mはそれを手助けするに他ならない。P2Mは魔法の粉ではない。具現化した世界は全てを網羅しているか、それは本人の努力次第である。どの道を選ぶか、それは本人次第である。他人から与えられた情報・知見を用いて事業推進するのでは事業に対する責任感が足りず、何か問題が発生したときの対応に大きな違いが出る。P2Mを用いるというのは手間と苦労がかかるものではあるが、それなりの成果が出るものと考えている。P2Mを用いて自分の想いを達成する事が出来たなら、幸いである。
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