今月のひとこと
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P2M立国を目指そう!

オンライン編集長 岩下 幸功 [プロフィール] :5月号

 今回の大震災を通じて、色々なことを考えさせられました。その一つに「日本のリーダーとは!?」というものです。テレビや新聞を通じた報道でしか知ることができませんが、その余りの稚拙さドタバタ加減にあきれ返っています。CS/CSR(Customer satisfaction /Corporate Social Responsibility) 感覚の全く乏しい上から目線のモノ言いや情報操作、縦割り行政の中での場当たり的対応、リーダーとしての覚悟も潔さも感じられない言動、・・・どれをとっても被災された方々の心を掴むには程遠いものです。海外からもこの有様を不安視されていますし、何よりも次代を託す子供たちへの影響が大きいと思います。日本のリーダーはいつの間に、このように劣化してしまったのでしょうか・・・?日本のリーダーはどのように育成されてきたのでしょうか・・・? リーダーは育成できるのでしょうか・・・? リーダーは探し出すしかないのでしょうか・・・?
 いろいろな要因が考えられますが、その一つにマネジメントセンスと体系だったスキルの欠如があると考えます。「マネジメントとはシステムだ」という認識が弱く、都合主義的に右顧左眄する様は、どうみてもリーダー像とは言い難い姿です。嘗て日本人には、武士道精神に立脚した「リーダーの型」というものがありました。しかし戦後、それら日本古来の伝統的な型を捨て去ってきました。代わりに、欧米的な型を身につけたかというと、それも上辺だけに終わり、継承にある種の空白状態が続いてきたように思います。この間、中核となる部分が劣化、失われてきたのではないでしょうか?詰まりは「型無」の状態に陥っているということです。個々バラバラに専門的なものはそれなりに追求してきましたが、それらを束ねるマネジメント(システム)指向が疎かになり、それが人材の劣化を招いているという主旨です。
「想定外のことだった!」という言い方は、一見妥当性があるように思われますが、想定外に対処するのが政治でありリーダーの責務であることを考えるなら、安直な言い訳にしか聞こえません。これからの政治家、行政官、経営者等、組織のトップを目指す人材には、「日本のリーダー及びリーダーシップの型」としてのプログラムマネジメント能力が必須だと思います。例えばウクライナでは、国家財政再建と経済成長戦略策定に向けたイノベーション推進のための政府公式スタンダードとして、日本発のプログラムマネジメント体系であるP2M (Project & Program Management)を採用し、国家再建に取り組んでいます。これから震災復興、財政再建、そして経済成長のトリプルジレンマに挑戦し、イノベーションを推進しなければならないのは、日本も同じ状況です。本家本元である日本の政治・行政おいて、何故、同様の取り組みがなされないのでしょうか?縦割り行政の中で、既得権益を温存したままで、真の国家再建はあり得ません。国家PMO (Program Management Office)とでもいうべき、組織横断的なプログラムによる、果敢な改革を断行すべきと考えます。そのためには、日本の文化・風土に根差したP2Mが、共通言語、共通基盤として貢献できるのではないでしょか?P2Mを公式スタンダードとし、P2Mでイノベーションを起こし、P2Mによる日本のリーダーシップの再構築を夢見ています。

 下記拙文(「コーポレートコックピットとしてのPMO」)はジャーナル40号特集「PMO (Program Management Office)」に寄稿したものです。企業PMOについて述べたものですが、それを国家PMOと読み替えて、ご一読頂ければ幸いです。
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