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「就職活動でのPMを学ぶ学生の立ち位置」

千葉工業大学 プロジェクトマネジメント学科 濱田 佑希 [プロフィール] :4月号

[はじめに]
 私が所属するPM学科では就職活動支援として、10月にSPI対策講座やエントリーシート対策講座が行われている。学生はそれぞれが知識を身につけてから、12月にはほとんどの学生が本格的に就職活動を始めた。
 ところが、就職活動を始めてから私を含む多くの学生が、「PM学科の立ち位置とは何なのか?」と口を揃え悩んでしまった。

[PM学科の立ち位置]
 就職活動では基本的な学問の系統として理系の学生と文系の学生に別れる。一見、PM学科は理系に近い位置に分類されがちであるが、実際は文理融合型の学問である。就職活動における系統の指定が、多くの学生に疑問を持たせてしまうのではないだろうか。
 また、多くの理系の学生は機械、配管、IT、電気等様々な分野においてのスペシャリストを目指しており、文系の学生は、言語能力や経営といった分野において専門性が確立されている。
 しかし、PM学科は一つの専門性を持たない。『全分野を統合的に網羅する』ための知識を学ぶPM学科の学生は、いわばジェネラリストを目指している。
    つまり、文系と理系という学問の系統、どちらでもない。


[就職活動中のPM学科学生の空しさ]
 各企業体では、新しい人材をプロジェクトマネージャにしたいと将来的視野には入れてはいるが、募集要項には入れていない。
 一方、PM学科の学生は、他学科の学生からは「PM学科って何?」と聞かれ、また人事担当者達からは「PMを知識で知っていても実務に活かせるのか?」と問われる。PMは、日常にも仕事においても活用できる学問である事をあまりにも世間に浸透していないという点に、PM学科の学生は捉え所のない空しさを感じている。私自身もその一人である。
 中でも企業から、「PMという知識だけを持っていても、我が社の実務に行かせないのであれば、それは無いのと同義ではないか?」と質問されると、非常に困惑してしまう。企業ではプロジェクトマネージャはメンバを統率し、プロジェクトを成功に導かなければならない立場である。確かに、多くの学生はP2Mにある「体系的知識(Knowledge)」、「実践経験(Competence)」、「姿勢・資質・論理(Attitude)」のうち、「実践経験(Competence)」が不足していると感じている。
 何故なら、各企業体や業種において様々な技術を独自のノウハウで行うからには実践経験がものをいい、PMを学んだからといってそのノウハウを即座に自身のものとし、実践経験まで備えた即戦力にはなれるかというと非常に難しいからだ。ここで、学生は「PMを学ぶ意味」について考える。

[私達が学んできたこと]
 私達はリーダとしての心得や基盤となるマネジメント技法、そしてこれらを生活レベルまで落とし込むことにより、いかなる場においても活用できるようプロジェクトマネージャになるための基盤形成を行ってきた。
 しかし、私達が学んできたPMという分野は、就職活動において『実践経験の不足』という壁に阻まれてしまう。この壁に阻まれたことにより多くの学生はプロジェクトマネージャへの道を諦め、4年間で学んだPMを生活レベルで活用するだけに留めてしまっていると感じる。

[最後に]
 私は、『実践経験の不足』によりプロジェクトマネージャへの道を阻まれ、諦める学生が多いことは非常にもったいないことだと考えている。この現実は受け止めるが、今一度、「PMとは何なのか?」という問いを、学生と企業が共に考える必要があるのではないか。
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