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就職活動中に学生が感じたPM

千葉工業大学社会システム科学部プロジェクトマネジメント学科 杉山 幸男 [プロフィール] :3月号

[はじめに]
昨夏から始めた就職活動だが、私はIT企業への就職とプロマネになる事を志し、2011年1月をもって半年を迎えた。特にPMを重要ししている企業への入社を目標にしているが、これまでにいくつか知った事がある。プロマネをご存じの方には当然と理解されるかもしれないが、目尻を落としてご覧頂ければ幸いに思う。尚、ここでの「企業」はIT業界の企業を指している。

[プロマネを目指すきっかけ]
私がプロマネを目指したいと思ったきっかけは、幼少の頃の記憶から始まった。小学校の文集にある将来の夢は友人と揃って「ゲームプログラマー、クリエイター、デザイナー」などと記述していた。当時は「作る人=プログラマー」という認識だったが、「何かを作りたい」という思いからPM学科に入学した。「新しい物を作りたい」から「(誰かと)新しい事を成功させたい」に変わり始めた時期は、大学のグループワークを達成した時である。尚、プロマネを目指す第一歩として、現在PMS取得に向けて勉強に励んでいる。

[企業はプロマネまでの過程にSEがある]
これまで二十数社に、企業が募集するシステムエンジニア(SE)の責務について質問すると、そのうち半数は要約すると「プロマネと同等」という回答だった。また、「プロマネ候補」としてSEを経験させるという企業もあったが、私はこれに疑問を感じる。作業工程はもちろん理解すべきで、だからこそのSEの経験も正しいと思う。しかし、PMの具体的な知識をいつどのように習得するのか、大半の企業は明確にしていない。尚、募集役職を「プロマネ」と明確にしている企業はその限りでない。

[プロマネは経験]
ある企業のプロマネは、会社説明会でそのように語り、故にSEの過程があると説明していた。しかし、この理論の場合は「経験」が先行してしまい効果的なPMを実行できないケースが発生しやすいと、我々の学科では指摘を受けており、殆どの学生が「知識あってのPM」という理論を学習している(しかし「PMBOKが全て」等という訳ではない)。もちろんどちらも重要であるとは思うが、経験の無い(浅い)プロマネがプロジェクトを成功させられるか、というと前者の理論には疑問を感じてしまう。是非、プロマネ候補を募集する企業には、PMの研修を期待したい。

[昨今の学生の「PM」に対する認知度]
率直に言えば、「知らない」という学生がほとんどだ。もちろん、いくつもの資格がある事は知る由も無いだろう。先日、選考の過程でいわゆるスコープマネジメントに関するグループワークを行ったが、PMを全く知らないという学生が大半を占めていた。それは当然なのかもしれないが、「近頃の若者はプロマネになりたくないらしい」、「部下がプロマネを拒否する」という内容の記事を週刊誌やweb上で見かけ、PMを知らないのか?と疑問に思い、残念に思う。よく言われるプロジェクトの成功率うんぬんが、「失敗したくないからプロマネは…」と繋がってしまうのか、それとも「責任」に威圧を感じるのだろうか。しかし事前にPMを理解していれば、「だからこそ」と、私のように目指したいと思う人は圧倒的に増えるのではと思う。そう思うと、学生のうちからPMを形だけでも知る事ができた私は、ある意味とても有利なのかもしれない。

[最後に]
私はPMを知る機会、使う機会が、学生には少なすぎると思う。それは社会の現状に比例しているからであり、「企業説明会」や「セミナー」に参加すれば肌で感じる。しかし、前述の「部下が…」というのなら、企業で堂々と「プロマネ」を募集して欲しい。学生がそれを知れば、自ずとPMに興味の沸く者もいるはずだと思う。そして社会人になる前にPMに触れ、物事の新たな見方を知って欲しい。そして、「プロマネ」がいつか日本で誰もが認知する時代になる事を、私は願っている。
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