リレー随想
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最近の海外プロジェクトについての雑感

理事 加藤 文彦: [プロフィール] :4月号

最近の海外プロジェクトについて雑感を2点お話ししたい。
私は日本貿易保険(NEXI)で、我が国エンジニアリング企業・商社等が落札・実施する海外プロジェクト、例えば石油・ガス分野や発電等のインフラ分野のファイナンスをサポートする立場にある。

1点目
この1、2年、我が国企業が、中東やアジア諸国等のプロジェクトで、韓国企業等に競争で負け失注するケースを多く見て、驚いている。
我が国企業は、P2Mあるいはそれによるイノベーションで、技術面で高い競争力を有しているはずなのに・・・。
《私の思い》
発注者側の一般的に傾向として、韓国企業等が一定レベルの技術を有してきたことを前提に、より高い品質を求めるよりも価格面の安さにプライオリテイをおくようになった。
それなら、我が国企業は高い品質・技術能力を持ちつつも発注者の要請に応じて、価格を優先して品質・技術については持てる力の80%とか60%を供与するという姿勢で臨めばいい・・・!!!大切なことは、品質・技術能力は持ち続けること。
例えば今、石油・ガス分野では極低温着技術の必要なLNGガス処理プラント、インフラ分野では超臨海石炭やガスタービン複合の火力発電プラントのように、我が国エンジ企業等が技術的優位性を持っているケースでは、価格以前に技術で勝負をつけることができる。そういうケースを増やしていく努力が必要だ!!
今後、時間が経って外国企業の建てたいろいろなプラントがボロを出して、我が国企業の品質・技術信頼性が再認識されることが大いにあると思う。
P2Mは我が国にとって今のような時代にこそ一層重要と信じる!!

2点目
海外のプラント成約の特徴として海外調達比率の上昇が顕著。(2008年度31%から2009年度40.5%に。経済産業省等の数字)その要因の一つは、特にアジアや中南米諸国等のある程度自国内産業が育ちつつある国におけるローカルコンテンツ規制にある。自国の部品・役務・労働力を一定程度使って欲しいというもの。
《私の思い》
実は、そういう国では韓国企業等は中東のような集中的大量受注による人件費等コスト低減は実現しにくく、意外と競争力乏しい。我が国企業は、海外現地労働力に中長期的観点に立ってP2Mを教授し、我が国親派を増やし、何よりもP2M技術のデファクトスタンダード化を進めるべきと信じる!!
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