リレー随想
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ODA技術協力プロジェクトとP2M

アイ・シー・ネット(株) 河原 工: [プロフィール] :4月号

「東北地方太平洋沖地震」で被災された方々に対しまして、心からお見舞い申し上げます。

アイ・シー・ネット(株)の河原と申します。弊社は、開発コンサルティング会社として、政府開発援助(ODA)の業務を中心に、主に国際協力機構(JICA)からの委託を受けて、開発途上国において政府行政官の能力向上を支援する技術協力プロジェクトの実施や各種セクターにおける開発計画の策定を支援しています。また、研修にも力を入れており、PMAJの認定を受けて、PMC(プロジェクトマネジメントコーディネーター)の研修も行っています。

今回は弊社の経験を基に、P2Mの視点から、ODAの技術協力プロジェクトの特徴を少し紹介したいと思います。まず、一般のプロジェクトとの違いで見ると、ODAプロジェクトの特徴として最たるものは不確実性の大きさです。日々の業務をするにしても、日本では当然と思っていることが、開発途上国では当然ではないということが多々あります。例えば停電です。たとえ地方自治体の事務所であっても停電は頻繁に起きるので、会議やワークショップを行うにしても工夫が必要になります。電気を必要とするパソコンを使ったプレゼンテーションは最小限にし、模造紙やポストイットで意見交換できるような工夫や、明るい昼間に野外で開催するといったことで、停電というリスクに対応することもあります。また、人の管理についても不確実性の高さを感じることがあります。例えば行政官でも、ミーティングに遅れることは日常茶飯事ですし、プロジェクトのキーパーソンが簡単に職場を辞めてしまうといった、とても残念な想いをしたことも何度もあります。

個別マネジメントで考えてみると、関係性マネジメントの難しさもODAプロジェクトの特徴でしょう。外国人である我々が事業に関わるので、相手の文化、風習を十分に理解する必要があります。本来の顧客である途上国政府とは別に、JICAという顧客がいます。人の交代も多く、組織のトップが代わると政策の方針も変わります。関係者個人や組織としての能力も総じて高くないのが現実です。このような複雑な環境の中で、限られた資源を活用し、結果を出すことが求められます。そのために関係性マネジメントやコミュニケーションマネジメントはとても重要です。

日本では考えられないような苦労も多いのですが、その分、プロジェクトの成果が表れ、現地の人々が笑顔を見せてくれると、これ以上のない喜びを感じます。今までの経験から、途上国でもP2Mが有効であると言えます。そのために、P2Mが日本の政府関係者に広まることを期待しますし、アイ・シー・ネットも微力ながら貢献いたします。

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