図書紹介
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「フェイスブック ―― 若き天才の野望 ――(The facebook Effect)」
(デビッド・カークパトリック著、滑川海彦・高橋信男訳、日経BP社、2011年1月17日発行、第1刷、525ページ、1,800円+税)

デニマルさん:4月号

2011年1月、中東では相次いで革命的な反政府運動が勃発し、現政権が交代している。チュニジアでは、ベンアリ大統領が退陣に追い込まれ23年続いた政権が崩壊した。この政変は、同国を代表する花がジャスミンから「ジャスミン革命」と名付けられた。その数週間後、エジプトでも30年間続いたムバラク大統領が政権から引くづり下された。更に、2月にはリビアに飛び火し、41年間権力支配をしてきた最高指導者カダフィ大佐の退陣を求め、予断を許さない政情にある。さて、話を本題に戻したい。実は、この一連の政権崩壊と今回紹介の本とは、密接な関係がある。これらの運動を影で支えていたのが、情報ネットワークであるツイッターやフェイスブックであると言われている。昨年末、この本が映画化されたこともあって一躍話題となった。この本はフェイスブックの誕生から現在に至る経緯が書いてあり、そこからインターネットに於けるネット世界の進化を見ることが出来る。

フェイスブックとは   ―― ソーシャルネットワーク(SNS)の寵児 ――
この本の副題は「若き天才の野望」とあり、フェイスブック創立者のM・ザッカーバーク氏を書いている。氏は、大学在学中にソーシャルネットワーク(SNS)を進化させたフェイスブックのシステムを立ち上げた27歳の青年実業家である。このシステムは、世界中に5億人のユーザーがいて、相互の情報交換可能なネットワークとして利用されている。このフェイスブックとは、米国の高校や大学での新人紹介の顔写真入りのアルバム名から来ている。

ソーシャルネットワーク(SNS)とは  ―― MIXI(ミクシー)の仲間 ――
ソーシャルネットワーク(SNS)とは、インターネット上で、友人、知人等と情報交換するシステムである。これに類似のEメールがあるが、個人的に限られた範囲の相手との情報交換手段である。これに対して、SNSは人とのコミュニケーション促進のためのサイト(場)である。広義には「ブログ」があり、日本で最大のMIXIがこの範疇に入る。MIXIとの基本的な違いは、登録は仮名でなく本名を名乗り、趣味等の個人情報も公開する前提がある。

フェイスブックの発展状況とは  ―― ネット世界の現況 ――
フェイスブックだけが何故に、ユーザー増加したのであろうか。詳細はこの本に書かれてあるが、実名登録が基本となっているので安心感がある。それに友人等からの紹介ベースで登録され、限られた人との交流である。この写真を含む個人情報は、利用者だけでなく企業としての利点も含んでいる。広告や市場調査等の価値を生み出す可能性があり、企業評価2兆円とも言われ、マイクロソフト、ヤフー、グーグルに次ぐIT業界の寵児である。

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