例会部会
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「第146回例会」報告

PMAJ例会部会 大垣 信行 [プロフィール] :3月号

【データ】
開催日: 2011年1月28日(金) 19:00~20:30
テーマ: PMが実践・メンタルヘルス不調対策
~自分を知ることから始める予防策~
講師: 富士通株式会社 社会基盤システム本部 松本 雅義氏
  バンキングチャネルソリューションズ株式会社 播磨 宏氏
  株式会社 PFU 永野 繁子氏

 今回の例会では、PMが実践する「メンタルヘルス不調対策」について、松本 様はじめ播磨 様、永野 様よりご講演を頂きましたので、概要をご紹介致します。

 まず、今回の例会への申込者数は、今年度(2010年度)最大数であったことをご報告します。
まさに、メンタルヘルス不調者対策が各社の急務の課題であることを窺がわせるものです。

 今回のご講演は、SI業界はじめ、昨今のビジネスの中で大きな課題となっていますメンタルヘルス不調者を出さない予防策、仕組みを導くため、富士通様が関連グループ会社横断的な活動を通じて得た事実と適切な分析技法の紹介をいただいた。

 松本さんからワーキンググループ(以下WG)活動立上の経緯、背景のご紹介がありました。
その中で、会場の関心を一気に高めた情報は、インフルエンザ 罹患率は2.7%だが、メンタルヘルス不調者は3.6%程度と試算できる というものです。もっと衝撃的なことはメンタルヘルス不調者の復帰まで要する期間は20.9ヶ月(14事例)とインフルエンザの18倍程度であるというものです。当日会場に居た方達を含め、メンタルヘルス不調から復帰するまでに相当期間を要することは十分理解していますが、身近なものと具体的に比較された数値を知らされ、改めて人的損失、機会損失の大きさに驚かされました。

 この数値からも、予防施策が如何に重要か改めて認識させられました。松本さんは、予防施策を検討するためにも、まずメンタルへルス要因を正確に把握することから始められました。

 その分析の中から、クラッシャの存在に着目され、クラッシャ対策をWGのテーマに取り上げられました。

クラッシャとは、プロジェクト組織もしくはプロジェクトメンバーを傷付ける存在です。
クラッシャは、プロジェクトの外だけでは無く、プロジェクトの内にも存在することが実例調査の中から浮き彫りになっています。
外のクラッシャとは、お客さまであり、プロジェクトの上司です。
内では、プロジェクトマネジャー自身の場合もあります。

 WGでは、クラッシャとなる要素を持つタイプ、被クラッシャとなる要素を持つタイプをセルフチェックする手法としてエゴグラムという手法を導入されました。
松本さん自身は、この手法の効果に疑問視しながら導入を決めたそうですが、事例としたプロジェクト関係者にセルフチェックをさせた結果、分析結果は予防策の活用に繋げられると評価されています。

例会当日も、会場の参加者が、永野さんが進行役となりセルフチェックを実施しました。質問項目は60問に及びましたが、皆さん真剣にセルフチェックをされました。

松本さんの進めるWG活動は、まだまだ継続されるとのことですが、
 本日の報告のまとめとして
問題を早期に見つけ回避する(メンタルヘルス不調を発症する前に対策)
問題が発生しないように定期的にチェックする(計画的に実施する対策)

 留意すること
プロジェクト(会社)は、メンタルヘルス不調を生みやすい環境が整っている
誰もが無意識のうちに、被害者にも加害者になる可能性を持っている

 被害者にならない、加害者にならない どちらの予防策も実は同じ・・・
自分の言動を、振り返りましょう
自分を、第三者的に評価できる人は有効な予防策を発揮できる人

メンタルヘルス不調者は、プロジェクトのみならず現代社会の大きな課題です。
当レポートの前半で紹介しましたインフルエンザと比較された罹患率、損失の大きさを念頭に、プロジェクト(会社)の実態に合った予防策を検討され、継続的に実践されることをお願いして、例会報告とさせていただきます。
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