Ⅵ. |
経営資源蓄積力: |
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P2Mでは経営資源を物的資源、人的資源、金融資源、情報資源、知的資源、基盤資源
と6つの資源に分類しました。ここでは外部経営資源としての協力会社をくわえました。
(1)物的資源
工業の発展期には物的資源が重要度のトップでした。生産設備、その他不動産類で銀行から借金をして、これらを整え、生産立国としての日本を支えてきました。これらはまた銀行からの借り入れの担保として有効に活用されました。しかし、現在は金余りの時代となり、本社ビルを建設しても、不動産価値として活用する意義が薄れ、証券化して活用することを考えています。物的資源は他の経営資源に比して相対的に地位が低下し、物的資産の少ない軽い経営が好まれています。
(2)人的資源
日本のように資源の少ない国では、人的資源が最も重要です。人的資源は他の資源と異なり、育成することで価値が指数的に上がる性質を持っています。現在の日本企業はこの事実を忘れ、2004年以降会社の財産である正社員をコストの安い派遣社員に切り替えました。これは株主優先主義を取り入れた誤りです。今の提言は企業に対してですが、新に対してはプロフェッショナルとしての自覚が薄れていることも問題です。特に責任をとる難しい仕事を避けることは、決して人的資源になりえないということを自覚するべきです。 |
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エンジニアリング会社
エンジニアリング会社では各種のレベルの高い専門家を必要としています。これらの専門家は仕事をすることでノウハウが蓄積するため、簡単には他者に真似されることが少なく、経営上の差別化に貢献します。中でもプロジェクト・マネジャーは育成に15年を要し、受注活動に不可欠の存在です。
最近はグローバル・インフラ・ビジネスが脚光を浴びてきました。日本は既にインフラ構築で大きな実績を有していますが、残念ながら1社で対応することはできません。エンジニアリング会社が中心となり、数社連合軍でグローバル・インフラ・ビジネスに立ち向かう必要があります。そのためのプロデューサーが求められています。P2Mのガイドブックはプロデューサー養成のための教科書です。
プロジェクト・マネジャーに関して云えば、現在求められているマネジャー像は従来求められたPMBOK的な人材像ではなく、新しいことに挑戦するPMS的人材、プロデューサー的人材PMA,PMRです。
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人材活用
日本では従来より、人材育成は熱心でした。しかし、残念ながら人材活用に関しては正しい理念を持っていません。単に習慣で行ってきました。年功序列で職位が決まるため、職位の責任者より実力のある人材が不遇な目にあう非公式なシステムが存続しており、折角の人材が生かされていません。
世界ではグローバル的に活躍する人材は高給でグローバル企業にスカウトされていきます。最近の傾向としては英語に堪能な留学生の就職が日本企業でも脚光を浴びていますが、外人を評価するシステムがなく、パッチ当て的政策は失敗すると思われます。
また、従来から難しい問題に取り組んでも失敗すると罰があたえられますが、何もしない人に罰が与えられない仕組が出来上がっているために、知識の勉強をし、会議で正論を吐いて実行しない人が増えています。これらの人材は知識があれば実行できると勘違いしています。この状況を変えない限り日本は滅亡の道を歩くことになります。
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3 ) |
金融資源
金融資源は日本人が最も不得意とするところです。金の運用ができません。米国は金の運用が得意ですが、リーマン問題でミソをつけてしまいました。しかし、今世界は約4,000兆円ものホームレスマネーがウオール街の600人のファンド・マネジャーによって組織的に運用されています。彼らは大掛かりな仕掛けで、先物投資で世界を動かし、いち早く逃げ出すと言う戦法で稼いでいます。これらに対抗できる能力は日本の銀行のエリートでは無理です。金融資源はこの程度にとどめておきます。
私達が活用する金融資源の使い方は、公共投資の代行をするPFI(Private Financial Initiative)でおこなわれる、プロジェクト・ファイナンスです。仕事のつくり方と、金の借り方が両立しないとプロジェクトが成立しません。金融の勉強に最も適した事例です。
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情報資源
情報資源は今や企業活動の中心的存在になっています。社内のデータマネジメント、経営情報システム、標準化、マニュアル化、各種アプリケションの採用による経営の革新、Webの活用等が含まれます。DB(Data Base)化は経営の意思決定の早さ、省力化に貢献しますが、日本企業の全社統一DB(Data Base)化率は30%程度で、遅れを見せています。また、日本企業のデジタル技術の持つ有用性を生かす活動が遅れています。単にITシステムを導入しても、デジタル技術を生かす構想計画が行われないと大きな投資効果が出せないという事実があります。
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5 ) |
知的資源
知的資源は株価の現在価格に大きく貢献する時代となりました。知的財産として特許類、ナレッジマネジメント(ノウハウ類、暗黙知の形式知化)、新しいBM(ビジネス・モデル)が重要視されています。日本は終身雇用が継続されているために、ナレッジを計画的に組織に残すことをしてきませんでした。今、韓国は日本人のOBを集めて彼らのノウハウをすべてDB化しており、日本には残っていないのが現状です。これでは韓国に負けるのが当然と言えます。
日本は「企業は人なり」という発想で人材育成につとめてきましたが。欧米は「企業は組織なり」という発想で、個人に頼る経営を排除してきました。経営者は仕組をつくって、経営を確実に行うことを努めてきました。残業をしなくても立派な仕事ができる仕組をつくっています。そして資格者は入社のその日から活躍できる社内システムが確立されているために、残業をしなくても、日本人よりより付加価値の高い業務をさせられています。日本の「企業は人なり」は欧米に追いつき追い越せ時代に、欧米から技術と仕組を購入したが、マニュアル等が整備されていないため、人が頑張るしかなかったのです。このスピード化された時代では「企業は組織なり」の仕組を使った企業に競争で破れます。(現に韓国に負けています)。まず、「企業は組織なり」を実現し、その上で、日本人特有の「企業は人なり」で競争力を回復する必要があります。これからの課題はナレッジマネジメントです。
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基盤資源
基盤資源は古くから必要でしたが、重要視されませんでした。資源は「ひと」、「もの」、「かね」といわれた時代の次に「情報」が入ってきました。次が「知的資源」が追加され、今「基盤資源」が重要視されています。グローバル時代となって「ネットワーク」は基盤としての要となりました。経営者の大きな仕事の一つに「多くの人が働きやすい仕組をつくること」が挙げられています。仕組を正しく設計し、実行する時代となりまし。これが経営システム基盤です。ところが、これらのシステムは世界の速い動きに合わせて、常時改善が求められます。システムの改善には関係者の頭の切り替えが求められます。常時改善をしている企業は関係者の頭の切り替えが早く、経営的に安定しています。次にグローバル基盤というものがあります。実は日本人が最も弱いところです。日本には「内と外」という発想が根底にあります。外人という人種はなく、本当に必要なのは外人との付き合い方ではなくて、中国に行くなら中国人との付き合い方を学び、タイ人ならタイの文化、価値観を学んでからお付き合いすることが大切です。したがってグローバル基盤とは必要な複数の相手国の情報を集めることが大切です。韓国は新興国に大勢の人を送り込んで、文化、価値観、言葉、高官との人脈形成、法律を学び経営に活用しています。日本企業は熱心に実行しているでしょうか。相手国のインフラ事業に参入するときは、相手国の企業と提携することが望ましいと思います。人脈から来る情報は2,3年で集めることはできないからです。これとは別に組織の成熟度も経営基盤として重要です。
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協力会社とオープン・ビジネスモデル
協力会社は通常経営資源に入れていません。外部経営資源だからです。しかし、近年は提携して新しい業務をする機会が増えました。長年の付き合いのある協力会社は財産です。
これとは別に企業が持っている技術と他社が持っている技術を組み合わせることで新しいビジネスを創出している事例が増えてきました。特許は自社でしか使わないという概念が変わってきたのです。これをオープン・ビジネス戦略、或いはオープン・ビジネス・モデルといわれています。このように資源を上手く活用することで、ビジネス機会を増やすことができるのが現代です。日本は今内向きになりすぎています。
経営資源としてはこのほかにビジネス・モデル(BM)が資産として重要です。最近米国でBMを構築する本が出版されました。中身を読んで見ますと、今説明しているOWモデルの手法とほぼ類似していることがわかりました。
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