関西P2M研究会コーナー
先号   次号

私にとってP2Mとは

住友電設株式会社:安達 正人 [プロフィール] :2月号

設備工事会社に勤続して30年を超えましたが、これまでの会社人生を振り返ってみますとプロジェクトマネジメント(以降PMと称す)との出会いが私にとって最も大きなインパクトある出来事の一つでありました。
また、PMとの出会いは同時に多くの貴重な人々との出会いでもあったともいえます。
2011年の始めに自分にとってPM、P2Mとは何であったのか、これまでを少し振り返ってみたいと思います。

発端は10年前に社内の業務改革の一環として、現場施工部門にPMの概念や手法を適用させる活動の担当者に任命されたことでした。
当時の当社の施工管理とは、日本の伝統的な管理手法や考え方が主流であり、それは自社だけではなくゼネコンをはじめとする建設業界全体としての体質が底辺にありました。
そのような考え方や手法を諸先輩から受け継いできた者の一人であった私は、PMとは特殊なモノではなく、従来の伝統的な施工管理の延長線上にあるものだと解釈していましたが、PMとは何かを学び理解するに従って、PMを現場の施工管理に適用させるということは、大げさかもしれませんが、まるでペリーの黒船が日本にやってきたくらいのインパクトであることが徐々にわかってきたのでした。
社内の取り組みでは、予算管理や進捗出来高管理を支援するシステムの開発導入やPMO組織の設立、教育などを手掛けましたが、多くの同僚たちはPMの手法や考え方には一定の理解をしながらも実際に適用しようとすると一転して拒否反応を示し容易に受け入れてもらえませんでした。
そのため、当初の計画を変更し従来の施工管理を活かしつつ段階的にPMを適用していくことにしました。
公共事業費の削減やコンプライアンス遵守など、業界を取り巻く経営環境の大きな変化が否応なく自社内の施工管理に影響したことも底辺にあると思いますが、数年のうちに管理手法やスキルが進化しただけでなく、一人ひとりがPMを重視し受け入れていこうとする姿勢に変化してきたように感じています。
開始当初、PMについて何も理解できていない(従来の考えに偏重していて何も知らないよりもタチが悪い)自分にPMとは何かを手取り足取り教えてくださった多くの方々との出会いが、その後の自分にとってかけがえのない存在にとなりました。その方々はコンサルタントやSEとして携わっていただいた社外の方でしたが、業界固有の文化に染まっていない外部の方々であったからこそ実態が明瞭に見えていたのだと思います。

その後、その方々から「プロジェクト?&?プログラムマネジメント(P2M)」、中でも特に「プログラムマネジメント」の「価値創造とイノベーションの仕組みづくり」や「高い視点と広い知識ベースがもたらす全体最適」などの特長をもったスキルを学ぶことができ、それがきっかけとなり、PMSの資格を取得することもできました。
PMS資格の取得後はPMAJの会員として、P2M実践事例研究会の活動に参加させていただくようになり、更に多くの会員の方々と交流を持つことができました。
異なる業種・業界の人々が「P2M」を共通の言語としてお互いに意見を交わし理解しあい、共通の課題や目標を掲げて分科会などで活動できるのは大変刺激的でもあると思います。

またこの数年は、大阪で開催されるPMS講習会において「目標マネジメント」の講師をさせていただきました。これに絡んで講習会で使用するテキストや資料の改訂作業を同じ章を受け持つ講師の方々と地域を超えて協働させていただいたことは、担当する「目標マネジメント」に関するスキルをさらに深めることができました。
そして何よりもPMS講習会で資格取得を目指す受講者の方々の真剣な眼差しは、講師をしている自分自身にも重い責任感と高いモチベーションを与えて下さいました。

繰り返しになりますが、P2Mは単にマネジメントスキルの幅を広げるだけでなく、P2Mという共通の言語を介して人と人がより高い次元で交流ができるプラットフォームでもあるのだと改めて確信しました。
今後もP2Mを通じて得ることができた宝物ともいえる人々とのつながりを大切にし、また新しい出会いにも期待したいと思います。
現在、PMやP2Mに興味をお持ちの方や資格取得を目指している方も私たちとともに実践事例研究会の活動へ是非ご参加ください。

最後になりましたが、PMAJ実践事例研究会をはじめお世話になった方々への感謝とともに今後もよろしくお付き合いいただきますようお願いいたします。
以上
ページトップに戻る