P2M研究会
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プロジェクト & プログラムマネジメント(P2M)の活用について:
 ① 「仕組み」のつくり方、② つくった「仕組み」は環境に合わせてかえる決断

東京P2M研究会 デリア食品株式会社 藤澤 正則:2月号

1.はじめに
 私は、東京P2M研究会に参画し、従来からのPM知識体系にない「スキームモデル」「システムモデル」、「サービスモデル」の組み合わせ、P2Mのガイドラインで提唱されている、プログラムマネジメントは、「ゼロベースの視点」「変化柔軟性」「コンピテンシーの基盤」「価値評価の原則」等の概念を実践的に取り入れるために、様々な立場、役割の方との議論から得られたことベースに、「サービスモデルで価値を生む仕組みづくり」をテーマに実践的研究を進めきた。
 「モノづくり=技術」を標榜する日本企業では「モノづくり」を意味する「システム・モデル」が重要視されてきたが、ここでは2つの重要課題を提起した。
「モノづくり」の仕組ではなく、「サービスモデルで価値を生み出す仕組み」をつくる
プログラム投資はサービスモデルで投資の回収を行うからである
社会変化の速い昨今では「1度つくったシステムも当初予定した価値を維持するために仕組を変える決断」が必要である
今回は、実践事例を少し紹介したい。

2.「仕組み」とは
 仕組とは、「事をうまく運ぶために工夫された計画」のこととして定義すると
仕組を考えるのは、「スキームモデル」であり、仕組を作るのは、「システムモデル」
仕組を使って価値を創出するのは、「サービスモデル」となる。大切なことは、「サービスモデル」を意識した仕組であり、これの根底として、「想い」があり、それを実現していくために、「ありのままの姿」、「あるべき姿」を認識して、ギャップを抽出して、絞り込んで、プログラムやプロジェクトにして、「仕組み」づくりを行う。

3.一度つくった「仕組み」は、必要に応じて変えていく必要がある
 事業を行うには、事業環境が変化する中で、内部資源を中心として経営資源をいかに有効に効率よく活用して、マーケットでの優位性を維持向上させていくかが大切である。
 これにより、お客様(広い意味では生活者)、社会が豊かになり、この事業に関わる組織や人が充実感を得て、豊かになることにより、事業は継続した形になっていく。
 しかし、事業環境は、外部、内部共に変化していくもので不確実なものにあるにも関わらず、確実なものとして認識して、事業活動を行なっている場合が多い。
 しかし、現実には顧客、競合者がいるため、外、内を意識して行動し、従来の延長上でないいくつかの見方、考え方を知り、計画を考えて、プログラム化して、「仕組み」を変える必要がある。

 これは、OW(価値創出)モデルをベースに、外部と内部のつながりに見方・考え方を表した図である。これまでは、内部のしくみから考えて進めていたが、外部環境をまず見て進める形で考える。

4.何を何に変えていくのか?
  外部環境と「仕組み」を考える時、なかなかイメージがわかりにくいので、下図のように自社の置かれている外部環境と仕組の状況、「以前」「今(ありのままの姿)」「これから(あるべき姿)」を図示して活用している。

 最初に、各自で感じている状況を作成し、「以前」「今」「これから」を外部環境と
内部(しくみ)でそれぞれを考えて見ることから始める。
 実際に検討を進めてみると、これから目指す「あるべき姿」は、合意しているが、
「ありのままの姿」である「今の姿」の合意(検討)ができていないことが多い。従って、「以前」「今」についての話し合いを十分に行う必要がある。
しくみ作りのステップ

 これを繰り返して、自社の姿を、何名かで議論して、「見へる形」にすることにより、どこに進んでいくかをイメージできるようにしていく。

5.「仕組み」づくりをプロジェクト&プログラム化で行う
 「ありのままの姿」、「あるべき姿」のイメージがまとまったら、実現するための課題の抽出を行い、制約条件を考慮し、実現性を考え、絞込みを行う。実際のプログラム・プロジェクトにしていくには、このフェーズは重要なポイントとなる。
「ありのままの姿」「あるべき姿」の進め方

6.まとめ
 P2Mのガイドラインは、概念的な事項もあり、実際に活用していくには、時間がかかりますが、業務に関わる事例に置き換えて、考え、話し合って進めることにより、より実践的な活用ができると考えられます。
 また、P2Mの実践事例やどんな活用をできるかなどに興味を持っている方は、P2M研究会にぜひ参加されては、いかがでしょうか。

参考資料
1.P2M プロジェクト&プログラムマネジメントガイドライン
2.東京P2M研究会報告書(2008年度、2009年度、2010年度)
以上
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