P2M研究会
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10月度例会報告

内田 淳二 [プロフィール] :11月号

東京P2M研究会を下記開催しました。
1. 日時:10月28日(木)
      18:30〜20:30
2. 場所:PMAJ 2階会議室
3. 出席者(敬称略)渡辺、仲田、梶原、内田
4. 議題:2010年度の研究テーマついての議論
要旨:  
  アナログ時代には、世界を席巻出来た日本のモノつくり技術が、デジタル時代ではその優位性が失われつつある。注1)デジタル化されたグローバル経済環境で、我が国の企業が再び輝きを取り戻す為に成すべきことは何か?今回は、渡辺座長より「ITと経営の融合」をテーマに最新の研究事例の概要の紹介をいただいた。デジタル化されたグローバル経済社会は、「既に起こった未来」でもう後戻りは出来ない。日本は、今からでも遅くないからDBD(デジタルビジネスデザイン)によるビジネスモデルで捲土重来を期さねばならない。DBDには、多くの有用なコンセプトが込められている。注2)
注1)
米国は対日本打倒戦略としての「マルコムボルトリッジ賞」設定以降「経営の品質向上」の動きが奨励された。1990年代に入り、経営にデジタル技術を導入する動きが活発化し、米国産業を大きく前進させた。残念ながら日本の経営は世界の頂点に立ちながら、アナログ社会での成功体験から抜け出すことができず、デジタル技術を経営に導入するという基本的な発想がなく、米国産のITシステムを導入することで満足してきた。残念ながらアナログ体質の経営に米国産パッケージを入れても、違和感があり、カストマイズという手法を取り入れて、デジタルパッケージをアナログ的経営に同化させたため、IT投資効果が出ないという問題を起こしてしまった。韓国企業は米国に習い経営のデジタル化 を徹底化することで経営のスピード化を高め、トップの決断で、新興国マーケットの開発を含めて、グローバルをにらんだ大量生産基盤をつくり上げ、量産効果でコスト削減を実現し、日本企業を席巻した。残念ながら日本企業はまだその現実を正しく理解していない。未だに発想はアナログで、グローバル的発想すら理解できていない企業がおおい。現在は目先の売上げ、収益に一喜一憂しているだけで、将来の青図ができていないことを、シンガポールの元首相、リー・クアンユー氏に指摘されている。
注2)
DBD(デジタル・ビジネス・デザイン)の基本思想は、「情報」にフォーカスし、
  経営の意思決定の根拠を予想から確信に変え、スピード化を図るDBDとは何か
  自社の顧客に価値ある提案ができるDBDとは何か
  社内の情報の流れをよりよくするDBDとは何をすることか
  供給者がしていたサービスを顧客自身で行わせ、顧客の要求を明確に提供させるサービスは何か
  自社の従業員が現在より付加価値の高い仕事ができるためのDBDとは何か
  10倍の生産性を挙げるためのDBDとは何をすることか
(アナログ時代の改善は最大5%程度の生産性向上である)
  業務プロセスの視点:ミスの防止からミスの予防を意図したDBDとは何か
  組織の統合:バラバラに活動していた組織を統合されたシステムにするDBDとは何か
  を考え、これらを経営に取り入れる。
DBDはコスト削減だけでなく、積極的に新しい領域拡大が主となっている。
感想:  
  大変、興味深いお話が聴けた。ヒト・モノの管理から情報の管理へ経営における差別化手段が移っていることは認識していても、どうIT化すれば良いのか解からない現状に対する緊急メッセージが多く盛り込まれた内容だった。次回以降も、本テーマでの研究紹介を続けていただく予定。

5. 次回

11月25日(18:30〜20:30)

以上
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