P2M研究会
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東京P2M研究会議事録(8月)

藤澤 正則:9月号

東京P2M研究会を下記開催しました。
1. 日時:8月26日(木)
      18:30〜20:30
2. 場所:7階会議室
3. 出席者(敬称略)渡辺、岩下、内田、仲田、梶原、梅田、藤澤
4. 議題:2010年度の研究テーマついての議論
共通の研究課題になるテーマの議論を行った。(議事進行 内田)
1) 日本のインフラ技術の海外展開とリスクマネジメント
日本のインフラを構築する技術は、世界の不足しているインフラ整備事業での貢献ができる可能性を持っている。従って、それを事業として、実現するにはどうリスクマネジメントを行うのか?
  受注は取れても、事業として難しい現実がある。契約方法、習慣、雇用体制などが異なり、日本流では難しい。契約内容では、一括受注とコスト+フィーの方式がある。日本の得意とする一括受注であるが、海外では、コスト+フィーが一般的。
  日本のインフラ構築技術は、本当に強いのか?
物はすばらしいが、マネジメントは?
  この分野での経験的問題点(日本人の甘さ)
  日本人は自己の周りの環境との調和で生きてきた。貸し借りが成立する社会の中で育ってきた。欧米、植民地の人々は「だまし、だまされ」の社会でたくましく生きてきた。だまされる方が悪いという社会で。日本人はこの原理が全くわかっていないための失敗が多い。
  国際的な契約の概念の欠如
  リスクという概念の欠如(リスクを考えるとリスクに見舞われる「言霊の発想」
  外国人を直接使うのが下手。フレンドリーな対応では外人を使えない。
  海外派遣者は英語の勉強だけさせて送り出しているが、重要なのはその国の文化・人々の価値観
  現地企業と組まないと法律・習慣がわからない
  業界が異なると海外へ出るための準備が違う
  この問題を業界別に考える。事例
  ゼネコンのケース
  ここでの最大の課題はどのようにして、顧客との関係性が構築できるか。ものづくりの技術より難しい
  現地のCode & Regulation を知るためには現地法人と組まなければならない
  現地法人がゼネコンと組む価値は何か自分が知らないといけない
  現地法人と組んでどのようなビジネス活動をするのか
これらのアイデアが示されることが望まれる
  インフラ整備であれば、政府間の支援が求められる
  不動産業のケース
  ここでの問題点はゼネコンと違う。不動産業は自分が施主だから、事業採算性が最大の問題となる。
  中国はアパート建設で不動産業は特徴を発揮することができる。日本技術による信頼感(地震で倒れない)、安心感(長持ちする)、保守のよさ、高級マンション等の金持ち相手の高級感等がある。
  また、使い勝手のよいオフィス、商業モールの開発等がある。この場合の顧客はゼネコンと違って、サービス内容で差別化できるメリットがあり、自社の経験が進出先でも役に立つ。

  IT産業の海外進出のケース
  今のITベンダーが海外で独立して受注できるだけの実力はないような気がする。唯一例外は英国富士通で郵政事業のIT化で成功を収めている。ここでは富士通の日本での経験が生きている
  その他はオフショア・ビジネスで現地事務所設立がある。ここでは発注者という立場で、どこの業者を選定するかが成功の鍵を握っている

  現地インフラ産業への参入ビジネス
  日本工営とかパシフィック・コンサルタントなどの事例がある。これらの事例を参照すること。ここでは技術的な実績という差別化があり、顧客関係性に時間をかけて構築している。
  海外でのインフラ整備には大いに乗り出してもらいたいが、ここではドル受注、ドル支払いが原則で、成功の第二の鍵は自社が責任を取れる業者を育成することである。

  親会社の海外進出と関係のない中小製造業
  既にグローバルの顧客があり、コストダウンのため進出
  その他何のための海外進出かが問題で、理由により成功の鍵は異なる

2) 日本の置かれている状況(少子高齢化や成長の鈍化)と考えると、ジリ貧になっていく可能性がある。この状況の中で、成長していくための可能性を探る。
日本は、汗水たらして、働き、1989年に世界一になったが、その後になっても、同じ行動様式で動いている。今後、どう意識を変えていくことが必要か?
  なぜ、成長ができなくなってきたのか?
  現実と情報(メディアなど)の乖離があるのでは?
  将来の不安から、お金を使わない、投資をしない傾向をどう変える
  中長期的に役に立つことができない
  持続可能な社会とは?そのためには、何を問題にして、何を目指すのか?
  官と民の役割は?民設民営、公設公営
  高齢になっても、社会とのつながりを持てる。雇用の創出ができる社会環境。
  システムを作ってきたが、サービスモデルは、あまり機能していないのでは。
  海外での進出の結果、国内の雇用は減少する。(日経経済教室2010.8.30.によれば海外の雇用が進むとその会社の日本での雇用も増加している)。但し、部品等の海外調達が進むと、国内メーカーの需要は減ることは考えられる。
  無駄の継続も必要か?国の赤字は、国民一人当たり、約600万円。
日本国内での必要な公共投資はまだ沢山ある。首都圏の道路整備、空港整備等で、無駄な公共投資を必要な公共投資に変えると経済効果は大きい
  若者がなぜ保守的になってきているのか?ニュービジネスはなぜ出てこないのか?
企業が
  海外で評価されているものがある。(観光、ファッション、アニメなど)
  日本はこれまで、明治維新、第二次大戦と2つの大きな変化を受けている。
これから、次の大きな変化がくる。
 →これからの時代は、従来の行動様式ではなく、考えて行動する時代への変化
  次回から進めること
  海外の影響が少なかった江戸時代に学んでみる

5. 次回
9月22日(18:30〜20:30)

以上
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