解決すべき問題(特性)を右端に書き、主要因を周りに配置し、要因を小枝として根本原因を絞り込む(図ではレベル3の原因)ことを繰り返す。JISで規定している範囲も、図の作成手順のみであり、どのレベルまで行うのか、主要な原因を識別する方法などについては規定していない(規定できない)。単純な図であり、このツールをどのように利用するかは、利用者に委ねられている。その用途として、1)特性と要因の関係を整理したいとき、2)問題点を解明し、対策を立てたいとき、3)管理項目を設定し、職位別管理を充実させたいとき、4)教育・訓練のとき、5)説明や報告のとき、などとされている[5]。
先に示したように、さまざまな目的に利用可能であることや、要因の数などに制約がないことから、その効果的な利用にはノウハウが必要となる。例えば、現場における問題解決において、主原因を4M(Man,Machinery,Material or Environment,Methods)とすることである。一般的な問題に対しては、主要因の決め方、各主要因における因果関係(小枝の部分)の認識方法について特別な方法はない。本稿ではリスクマネジメントに対して有効な特性要因図の書き方を述べる。但し、これは1つの考え方であり、先に示したツールと人間の活動という枠組みの中で考えると、また別の見方も出てくる可能性はある。
リスクマネジメントでは、主にリスク特定で利用する[6]。特性要因図が、特性(結果)に対する要因(原因)を示す図であることから、リスク特定以外の場面でも利用できる。リスク特定において主要因としては、プロンプト・リストが利用できる[6]。例えば、PESTLEプロンプト・リストは、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)、法律(Legal)、環境(Environmental)を示している。これらを主要因として、特性要因図を記述する。問題には、プロジェクト目標や目的を記述する。そして原因を絞り込み、リスクを網羅的に特定していく。以下に、その様子を示す。