リレー随想
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「研究委員会発足のいきさつ」

佐藤 義男 (株)ピーエム・アラインメント: [プロフィール] :7月号

 3月に「組込みシステム開発プロジェクト研究委員会」のアウトプットである、調査研究報告書の納品を終えました。今回は、この研究委員会発足のいきさつをお話しいたします。

1.背景
 2006年5月にITベンチマークSIG全体会議で、ゲストスピーカーの井沢氏(NEC)から「組込みプロジェクトマネジメント・フレームワーク」を講演いただきました。このフレームワークは、組込みソフトウェア開発プロジェクトを対象としたもの(PMプロセスはPMBOKガイド第3版に準拠)。さらに、自説として「組込みシステム開発におけるP2M適用に関する一考察」の説明がありました。この時、組込みシステム開発は「プログラム」であることが印象に残りました。
 2007年7月には、組込みシステム開発プロジェクトの50%が工数超過している(「2006 年版 組込みソフトウェア産業実態調査」、2006年8月、IPA)ことを知りました。コアである「組込みシステム開発」は我が国の国際的な競争力の根幹を支える技術である。このため、経済産業省では人材育成、ソフトウェアエンジニアリングの実践などからなる組込みソフトウェア産業競争力強化策を推進していく方針を打ち出しました。私は、このことから組込みシステム開発にプロジェクトマネジメントの取組が急務であることを認識しました。しかし、この時点ではアプローチの仕方を見出せないままでした。
 ところが2008年8月、PMAJで日機連委託事業を応募することになり、私の企画が選ばれました。

2.提案書作成に際して
 組込みシステム開発はハードウェア開発と組込みソフトウェア開発を統合化した「プログラム」であり、擦り合わせが有効に機能することが求められている。このことから、組込みシステム開発でも、特に自動車、小型家電、複合機に代表される「擦り合わせ型」にフォーカスした提案書「擦り合わせ型指向による組込みシステム開発プロジェクトマネジメント基盤の調査研究」を作成しました。この提案書では、P2Mの知識体系を活用した開発プロセス標準とプロジェクトマネジメント手法の整備により、グローバル化に対応したプロジェクトマネジメント基盤(「擦り合わせ」プラットフォーム化)を確立すること、を目的としました。

3.委員の構成
 2009年6月に日機連に提案説明しましたが、8名の委員(学識者、実務者、プロジェクト & プログラムマネジメントの知見者などで委員構成)が確定しませんでした。予定していた方が辞退するなど困りましたが、事務局の支援で7名が確定しました。
 7月に日機連から内示をいただき、金子氏(プロセスネットワーク)に委員長を委嘱依頼しました。そして、8月28日に第1回委員会が開催され、やっとスタートしました。
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