1. |
今年度研究会活動の特徴と課題 |
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① |
アドバイザーの役割
今年度は経験豊かな見識のある方々にアドバイザーとして活躍いただいた。5つの分科会中、4つの分科会でそれぞれのテーマに造詣の深い方々を選任し、適切なるアドバイス・コメントをいただいた。結果として分科会面々の見識も広がり、充実した議論が出来たのではと思う。 |
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② |
各分科会が適宜・適切な場所を確保し定期的な研究会合を開催
各分科会に共通することは最低でも月1回は必ず会合を開いている。集まる場所(開催場所)もそれぞれの分科会が定宿(?)を確保している。定宿(?)はすべてメンバーの好意によるものである。また会合の都度、分科会リーダーが適度な課題(宿題)をメンバーの面々に課し、次回持ち寄って皆で議論する、というパターンも定着したようである。 |
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③ |
全員参加型
自主的な研究会活動であるので当然のことではあるが、全員参加型の議論が活発に行われていることである。実践研究会が始まった初期のころは、一部の人が場をリードし議論を収斂させる傾向が見られたが、昨今はどの分科会も全員参加で建設的な議論が繰り広げられている。 |
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④ |
中だるみ傾向
一方で研究会活動の課題にもなるのだが、分科会も場馴れしてくると刺激も少なくなり、メンバーの集まりが悪くなりモチベーションが低下する傾向が見られる。やはり分科会リーダーがパッションを失わないこととメンバーとの不断のコミュニケーションが重要である。 |
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⑤ |
全体会合(P2M研究会)への参加率が悪いこと
分科会を主体に活動しているので仕方ない面はあるが、2ヶ月に1回開く全体会合(P2M実践研究会の会合)の参加率が悪いことも、課題の一つである。全体会合は有識者の講演と各分科会報告がメインである。他の分科会の進捗状況を把握するとともに、進め方や手法、考え方を学ぶ機会でもある。是非、積極的な参加を期待したいところである。 |
2. |
各分科会の活動概要 |
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① |
リーダーの言葉を読み解く−チームを鼓舞する珠玉の一言
当分科会は昨年度までの“プロジェクトX”分科会の流れを受けている。“プロジェクトX”分科会ではリーダーシップ論やチーム力、あるいは難局を切り開く“場”の力に焦点を当てて分析を試みてきた。今回はプロジェクトXに限定せずに、一般的なリーダーの発する言葉がチーム力向上や個人のモチベーション向上に、どのように影響するのかを紐解こうとしている。リーダーの発する言葉が春の言葉か、夏の言葉か等の春夏秋冬理論で区分けし、受けての受信した時の状態(コンテキスト)とその後の変化・変遷状態の分析を試みている。このテーマは新年度も継続テーマとして、更なる深堀分析を実践していく予定である。 |
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② |
オフショア開発の事例研究
3年が経過した当分科会も、外国人を含め多様な人材が入り交じり、国際色豊かな議論を展開している。メーリングリスト上ではリーダーである坂口氏の「つぶやき」メールや「海外特派員?」メールが飛び交い、各メンバーもそれに応える形で体験談等を披露している。成果物のまとめは推進リーダである下野氏が担当し、逐次、議事録や成果を発信している。メール上のやり取りだけでも、すごい成果だと感じる。
今年度の課題テーマは「仕様変更に対応する仕組つくり」であり、多方面からの検討を重ねて成果をまとめてきた。新年度も分科会として継続し、次の課題に取組んでいく予定。 |
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③ |
PM人材育成−事例分析
当テーマは3年ほど継続しているが、今年度はメンバーもほぼ一新しスタートした。奥の深いテーマであるだけに、分科会ではいつも熱の入った議論が展開されたと伺っている。今年度は特に「不確実性」というキーワードに焦点を当て、昨今の社会的環境や教育事業の現状を見据えた上で、奥深い分析をしている。一流の大学教授陣の最新理論をふんだんに交えた論旨展開は、中間報告書とは言え必読に値する成果物である。 |
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④ |
環境変化の中のプログラムマネジメント
当分科会はP2Mの真髄とも言うべきプログラムマネジメントの勘所を研究するのが狙いである。昨年度まではプログラムマネジメント中のアーキテクチャーマネジメントの要点分析を主眼に研究を進めてきたが、その流れを汲むものである。
テーマがテーマだけに論客が集結し、プログラムマネジメントに関する先人賢者の論文を輪読するなどしながら、メンバー同士が高い次元の議論を戦わせている。関西P2M研究会の中核とも言うべき分科会でもあるので、新年度も引き続き、活発な活動を期待したい。 |
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⑤ |
プロジェクトにおけるメンタルヘルス考察
今年度に全く新しく発足した分科会である。昨今、心の病ともいうべき精神疾患者が急増しており、組織職場においては深刻な問題となっている。政府も来年度からはうつ病等の精神疾患の広がりを防ぐために健康診断で早期発見するための項目を盛り込むことを決めたとのことである。個人主義が台頭し、人間関係が希薄になった昨今の世相の反映でもあり、一種の現代病と言っても過言ではないだろう。
当分科会ではプロジェクトマネジメントの事例からメンタルヘルス悪化の真因を考察しデータ分析を試みた。結果としてメンタルヘルス悪化の要因のひとつであるストレスに着目し、対処方法としてコーピングの実態に迫っている。
初年度ということもあり、勉強会的な側面が強いが、新年度も継続テーマとして進展していくことを期待したい。 |
3. |
今後の研究会活動について |
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① |
研究会成果を実践の場で活用
研究会の成果は、業務の実際の場で活用されてこそ生きてくる。逆に実際の場で活用されるように、より具体的な掘下げた議論を各分科会に期待したい。 |
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② |
多様性(入り交じり)メンバーの参画
昨年の抱負でも述べたが、老若男女、外国人を含めて多様なメンバーに参加してもらうことが重要だと考える。業種も現状はIT、製造業、建設業がメインであるが、流通・金融あるいは自治体関係者等の幅広い多様な人材の参加を期待する。多様性(入り交じり)が新たな発想展開につながっていく。今年度も引き続き、関西のPMAJ会員に幅広く呼びかけていきたいと思う。 |
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③ |
2011年度の大阪フォーラム開催に向けて
2011年度はPM大阪フォーラムが開催される。大阪フォーラムを成功させることは、関西を再生飛躍させることに繋がるという気概を研究会面々が持って、研究会活動やPMの普及促進に邁進していくことを望みたい。 |
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④ |
全体会合(P2M研究会)への参加促進
各分科会の連携も重要である。分科会だけでクローズするのではなく、全体会合に積極的に参加し人的交流を進めるとともに、他から学ぶ姿勢が大事である。そのことによってP2Mの中核理念でもある、各研究テーマの相互補完効果と相乗効果を発揮し統合価値を創造していくことに繋がると確信する。 |