P2M研究会
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東京P2M研究会議事録(5月例会)

藤澤 正則:6月号

東京P2M研究会を下記開催しました。
1. 日時:5月27日(木)18:30〜20:30
2. 場所:PMAJ 2階会議室
3. 出席者(敬称略)渡辺、岩下、仲田、梅田、山崎、藤澤
4. 配布資料
 「山崎様資料」「これからの日本はどうなるか」「擦り合わせ型指向による組み込みシステム開発プロジェクトマネジメント基盤の調査研究報告書:要約」
5. 議題:
  (1) 「2008年1月からの動きの報告」:山崎
  海外での新会社の設立
エンジニアリング会社として、人材育成供給を含めた現地法人での会社の立ち上げ
  海外危機管理について
緊急時、平常時での取り組み
  今後のエンジアリング業界のあるべき姿
従来の一括請負型から、社会インフラ整備などの事業転換が必要
事例:造水事業、原子力事業など。従来は手馴れた石油精製、石油化学等規模は大きいが、プロジェクトとして取り扱えた。しかし、これからの事業は単一なプロジェクトでは処理できないため、プログラムとして取り扱うようになった。
造水プログラムでいえば、単にプラントの納入だけではなく、基盤整備、造水設備、上水、下水施設とその運用ノウハウ、ファイナンスと自治体保証問題、法令整備などなど、多数者によるプログラム開発となる。
ここではP2M的アプローチが求められている。
  日本の産業をめぐる現状と課題
産業構造、ビジネスモデル、ビジネスインフラの構造的課題がある
韓国は、国を挙げて、エンジニアリング事業を推進する環境
エンジニアリング産業は日本が世界一である。サムスンは、ここでも日本追従、追い越しを狙っている。(残念ながら日本政府やマスコミはエンジニアリング産業の素晴らしさを理解していない。韓国が強くなって初めて目覚めることになるだろう)

  (2) 「擦り合わせ型指向による組み込みシステム開発プロジェクトマネジメント基盤の調査研究報告書」:岩下
  組み込みシステムとは?
  ハードとソフトの役割と区分けを設計時にどう分けるのか?
実態は、実施フェーズでのすり合わせで行われている事例が多く、属人化されている。
その結果、品質にばらつきが発生しやすく、CQDに影響が出やすい。
上流のフェーズ(設計フェーズ)から、全体を考えた擦りあわせを行うことにより、CQDの向上につながる。
  質疑事項
擦りあわせ型と組み合わせ型があるが、商品やサービスの差別化につながる形になっているか?
→何を対象にしているかを理解しないで、行っても差別化は出来ない。
→マーケットのどこを狙うのか?現状の大きなマーケットは、BOP(Bottom of Pyramid)。
議論の中で、摺り合わせ技術だけで競争力を主張することは危険である。売るためには何をするべきかという発想がないと、新興国では一台も売れないという笑えない現実がある。

  (3) 「これからの日本をどのように生きるべきか?」渡辺様
「技術で勝てる日本がなぜ事業で負けるのか」「危機の経営」の本を読んで、これからの日本はどのように生きるべきかを考える。
今回は時間の関係で議論を尽くすことができなかった。これは今後の日本の進むべき道で、国民等しく大きな危機感を感じながら対処する問題として捉える。次回もこの議論を続けるが、今回は問題解決の焦点を絞ってみた。
  クローズドシステムとオープンモデル
    製造業においてはこれまで自前主義で進めてきたが、限界に来ている。そこで他社と連携して新しいビジネスを起こす、オープンビジネスモデルが脚光を浴びている。
    日本では国内とグローバルと二つの仕切りをつけて考えている。この発想では日本の将来はなくなる。グローバルでつまずくと国内に舞い戻ってくる。ダブルスタンダードは発展途上国時代の発想で、世界の先端まで到達した国が考える発想法ではない。
  デジタル戦略
  i ) 日本が決定的に遅れているのはデジタル戦略の部分である。デジタル戦略とは現状の業務をIT化することではなく、以下に示すデジタル戦略を企画・設計することをDBD(Digital Business Design)という。
    IT化することで生産性が10倍になるにはどのようにするか(生産性)
    業務のスピード化を図るためにはどのようなIT化をするのか(スピード化)
意思決定のスピード化、研究開発のスピード化
    顧客に高い価値を提供するために、顧客にとっての無駄を省き、必要な機能を理解し、提案し差別化をはかる。(顧客満足度)
    ナレッジマネジメントを充実化させ、既に経験した業務の整備をすることで、社員が付加価値の高い業務遂行ができる体制を創る
    社内の情報の流れの合理化
    統合されたシステム構築と他企業との連携可能なシステム構築
  ii ) 現状は
経営改革度とデジタル度(IT化)を組み合わせると、どう見えるのか?
       日本、アメリカの違いは何か?
    デジタル・ビジネスデザイン(DBD)マトリックス図
米国はDBDマトリックス図の北東象限業務改革を行い、デジタル化度が高い。
日本は平均的に北西象限の企業が多い。構想計画をしないことには北東象限には到達しない。
  iii ) ものつくりか? 情報つくりか?
    日本ではものつくり=技術で進めてきた。今回の摺り合わせ技術差別化はその典型
    最近のニュースでソニーはグーグルと組んでグーグルTVを発売するという。
これはTVを製作するのではなく、情報を製作する話しである。ビジネスの発想が異なると、競争のポイントが違う。i-Pod、i-Phone 等は情報を売る仕事で、製造業に勝ってしまっている。
  BOPへのアプローチ方法
新興国相手の業務をするならばCQD+セールスで、日本国内で製造していたのでは経営で勝てない。しかし、工場が海外に転出するト国内の雇用創出にはつながらないという問題が浮上する。
そこで新たな国内向けビジネス創出が求められている。
  その他の議論
  i ) 梶原氏よりコメント提供
  ii ) 最近の経済産業省のウエブから方針
  iii ) ものつくりか? 情報つくりか?
    産業競争力部会の問題意識
    今後の省庁間横断的施策
1) 日本のアジア拠点化総合戦略
2) 国際的水準を目指した法人税改革
3) 収益力を高める産業再編・棲み分け、新陳代謝の活性化
4) 付加価値獲得に資する国際戦略
5) ものえづくり「現場」の強化・維持
6) 新たな価値を生み出す研究開発の推進
7) 産業全般の高度化を支えるIT
8) 産業構造転換に対応した人材力強化
9) 成長を創出する産業金融・企業会計
  現状認識が必要
    何が足りていて、不足しているのか?
    成功体験からの脱却が必要

  次回までに各位から追加のコメントをご提供願いたい
5. 次回 6月24日(18:30〜20:30)
場所 PMAJ 会議室
     議題:どういう現状認識をしないといけないか?

以上
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