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「ダイバーシティ時代のプロジェクトマネジメント」
〜英語アピール力〜

井上 多恵子 [プロフィール] :5月号

 プロジェクトリーダーやプロジェクトメンバーとして、関わっているプロジェクトがもたらすメリットをステークホルダーにうまく伝える力は、不可欠だ。しかし、不可欠であるにもかかわらず、その力が不足している人は多い。ましてや、それを外国人に英語でアピールできる人となると、ますます数が限定されてしまう。プロジェクト自体にどんなに価値があったとしても、ステークホルダーに正しく理解されなくては、その成功は難しいものになってしまう。
 「そんな不幸な事態をできるだけ避けたい」という強い願いを込めて執筆してきた本が、ようやく入稿の段階にまでたどり着いた。「グローバル社会で夢や目標を実現する手助けとしての実践的な本」として、「社会人や学生が、自分や、商品やサービスの良さを英語で相手に伝わる形でアピールし、キャリアアップや、販売拡大などのチャンスを手にすることを助ける」ことを目的としている。11月末から書き始めたが、想定していた以上に、執筆作業は大変だった。「伝えたい」ことは山のようにあっても、それらを言語化し、そしてPCにインプットしていく作業はもどかしいものだった。
 とりとめもなく話したことをうまく文章にまとめてくれるような人がいたらどんなに助かったことか。あるいは、言葉を思い浮かべるだけでメールを打てる脳情報通信技術のようなものが2020年ではなく今実現していたなら、どんなに良かったことだろう。(実用化に向けて総務省が動き出したという記事が、日本経済新聞4月22日夕刊に掲載されている)時間が不足し、週末だけでなく、お正月3が日も家にこもってPCに向かう有様だった。そんな中、執筆作業を投げ出したくなる時もあった。
 そんな時、全脳思考についてのセミナーを受講し、「そもそもなぜ本を書こうと思ったのか」、その想い・原点に立ち返ることができた。「レジュメプロの代表と自分の英文履歴書コンサルタントとしての経験や社会人としての経験を1冊の本という形にまとめて世に出すことで力があるのに、それをうまく伝えきれていない人の役に立ちたい」という気持ちの再確認。そして、知人がこの本で学ぶことによりアピール力を身につけ、夢を無事叶えて喜んでいる時の顔を思い浮かべることで、再び執筆作業に向かうパワーをもらうことができた。この「何かを達成することで喜んでいる個人の姿や表情をできるだけ具体的にイメージすることで、実現に向けてのステップが明確になる」という全脳手法については、今後継続して、教えていただけることになった。私なりにうまくこの手法を実践し、事例として説明できる自信が持てたら、皆さんとも共有させていただきたいと思っている。
 本の対象者は、英語アピール力を必要とする日本中の、そして、海外にちらばっている学生から社会人までの日本人だ。いろんな人に、本を役立ててもらいたい。食材を海外の飲食店で使ってもらえるよう、現地の商談会に出席する日本の小さな農、畜産、漁業者や食品メーカーの人々にも。(4月19日付 日本経済新聞 夕刊)あるいは、大学や企業による「人材の国際化」の施策を通じて国際的な日本の存在感向上につなげるべきだとする提言をまとめた経済産業省と文部科学省、早稲田大学やIHI、野村ホールディングスにも。(4月21日付 日本経済新聞 夕刊)また、『「世界一、世界人」の多い国、日本へ』というデーマで、提言を求めている日本経済新聞にも。
 そして、プロジェクトに携わっているあなたにも。プロジェクトの成功が相手にもたらすメリットを説得力のある形で伝えるために、注意すべき点は何か。英語でアピールするための基本的な表現は何か。プレゼンテーションの場面やe-mailなどの発信手段に応じて、表現をどう変えたらいいのか。あるいは、自分がプロジェクトメンバーとしてふさわしいということを関係者に納得してもらうために必要なことは何か。実績に加え、これからどんな貢献をしていくのか、も伝えるべき点だ。ステップを追って、これらを実践的に学べるようになっている。本で学んだことを実際に活用してもらうことが目的だから、学びに関して得てきたノウハウをできる限り取り入れた。
 刊行予定は、6月から7月にかけてだ。果たして、レジュメプロの代表と私の想いは、皆さんに届くだろうか。何よりも、皆さん一人ひとりが、プロジェクトを成功させたり、チャンスをつかんだりすることを助けてくれるだろうか。わくわくしてくると同時に、真価が問われることに対し、不安でもある。しかし、「英語アピール力」のプロとして、より役に立つ本を今後も出していけるよう、PDCAを回していきたいと思っている。
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