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スタッフ部門におけるWBS活用

NECソフト 生産技術部 仲田 弘 (PMR) [プロフィール] :4月号

「日経SYSTEMS 2010.1 特集1 WBSの作り方」をご覧になった方も多いと思います。
ここに当社のWBS活用推進に関して少し書かれています。
ご存知の通りWBSはスコープオブサプライ、スコープオブワークの二つの視点でプロジェクトのスコープを定義したもので、「漏れなく・無駄なく・ダブリなく」記述されていることが重要です。WBSが正しく記述されることがプロジェクト全体の見える化に繋がり、プロジェクトの成功への第一歩となるわけです。

このようにプロジェクトにとってWBSは非常に重要なものですが、弊社ではスタッフもWBSを活用する活動が進められています。 昨年の夏に、社長から「スタッフの現場改善活動を進めるにあたり、WBSを活用してみてはどうか」との提案がなされました。スタッフ業務をWBSで記述することによって見える化し、グループ員全員で共有すると共に、コミュニケーションツールとして活用し、作業品質キープを前提とした効率化・生産性向上、サービスやアウトプットの品質向上を狙いとして、スタッフWBS活用推進プロジェクトがスタートしたわけです。
P2M的には、経営者の熱い想いとして、「スタッフの現場改善」が示され、プロファイリングマネジメントとして「あるがままの姿をWBSで描き」、描いたWBSをもとに改善検討してあるべき姿を描き、仮説検証していくというような流れでしょうか。

スタッフ部門では、業務が人に付いていて、業務マニュアルが十分に整備されていないようなケースが間々あります。頻繁に繰り返し実施されている業務であれば、それでもあまり実害はありませんが、1年に1回とか数年に1回実施されるような業務(例えばプライバシーマークの更新作業は2年に1回更新など)では、担当者が異動したり退職してしまうと、後任の担当者が1から調べ直さなければならず、業務がスムーズに進められないというようなことになります。
このような場合、一度WBSとWBS辞書を作成することにより、業務の引継ぎも簡単になりますし、業務マニュアル(標準WBS)としての活用も可能となるでしょう。
また、このWBSをベースにしてスケジュールを作成し、スケジュールに沿って作業を進め、進捗管理、実績の採取を行うことにより、作業進捗状況の把握や生産性の把握が可能となり、納期の遵守率も格段に向上するでしょう。業務完了時点で予実を分析してフィードバックすることにより、標準WBSの精度向上も図ることができるでしょう。

このように、スタッフ部門であってもライン部門のプロジェクトと同様にWBS活用の効用を享受できるものと思います。

私は、この活動の推進役を仰せつかりました。そこで、まずはスタッフ部門の全員に「WBSとは何か、どのように使うのか」といったことを理解してもらうため、教育コースを企画しました。
忙しいスタッフ全員に受講してもらうためには短い時間で効果的な教育内容が望まれます。当社ではPMBOK、PMP資格の取得が推奨されていますが、少しでもP2Mの認知度を向上するためP2Mガイドブックに記載されている内容をもとに、30分で説明できるような講義資料を作成し、各ページにはガイドブックの記載ページを付与するなどして、少しでも興味を引くように工夫しました。また、WBS作成を体感することでWBSの理解を深めてもらうために、簡単なテーマでWBSを実際に作成・発表する1時間半のワークショップと抱き合わせの合計2時間の教育コースとしました。

スタッフ部門のキーマンを集め、スタッフWBS活用推進キックオフミーティングの実施から開始して、教育の開催、スタッフ現場でのWBS作成・活用に対する個別支援の2本立てで展開を進めてきています。まだまだ道半ばですが少しづつ成果も出てきており、今後の進展が非常に楽しみです。
以上
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