トピックス(活動報告)
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PMAJへの想い

副理事長(会員活動部門担当、SIG推進部会長、ITベンチマーキングSIG代表):
富士通株式会社 久保野 邦子 [プロフィール] :2月号

 私がPMAJの活動に初めて参加したのは、2001年の国際PM大会(IPMC2001)です。PMの分野では日本で初めて開催された国際大会で、PMAJの前身であるJPMFが主催したものです。参加者が23カ国から500名に上る、当時としては大きな大会になりました。富士通は、役員が大会の副会長に就任して基調講演や招待講演をするなどこの大会を強力にバックアップすることになり、私も実行委員の一人として参加することになりました。

 当時はまさに日本のモダンPMの黎明期でした。JPMFのメンバーはもとより大会に参加した誰もが、さあこれから日本にもPMをもっと普及していこうという気概に満ちていたように思います。PMという新しい分野のイベントに皆で取り組む夢と情熱が満ちていて、私もワクワクしたことを昨日のように覚えています。

 私はずっとIT分野で仕事をしてきました。フィールドSE、研究スタッフ、富士通ではSIを中心としたシステム開発やSDEMなどの開発技術に関わってきました。開発技術や品質をテーマに、会社や国を超えての技術交流にも参加して知見を広めてきたつもりでした。IPMC2001には、PMをテーマに、IT、エンジニアリング、建設、製造、官公庁・自治体、大学、PM教育コンサル業の方々などが参加されていて、これまでと違った人脈と知見を得ることができました。この経験は当時は大変新鮮で面白く感じたものです。

 翌年2002年夏からJPMFの活動に本格的に関わることになりました。秋にはJPMFをITの人々に魅力あるものとするために、ITベンチマーキングSIGを立ち上げ実質的な研究活動を始めました。趣旨は、『企業・組織を超えてIT業界共通のPMの問題を解決していこう!』というもので、理論にとどまらず少しでも現場で役に立つ研究を心がけてきました。研究のテーマには、例えば、昨年から活動を開始した“IT分野でのP2M活用研究”、“PM育成”、既に成果物を出版し、PMシンポジウムや例会などを通して広く世の中に発信している“RFPベンチマーク”、“リスクマネジメント”などがあります。活動内容の詳細は、このオンラインジャーナル上の「IT SIG」のコーナーで毎月メンバーが交代でご紹介しています。ご一読いただければ幸いです。

 PMAJは私がお付き合いを始めた2001年当時と較べると、事業や活動内容の広がり、深さ、会員層の広がりなど目を見張るものがあります。しかしそれ以上に、PMAJを取り巻く人たちの期待や満足度の要求レベルが高くなってきていると感じています。国内のIT分野では、PMが普及し定着しつつあり、PMのブーム的な人気は収束しつつあります。以前にも増して実質的で質の高い、現場で役に立つPMが求められています。さらに厳しい経済環境が続いている今、PMAJの存在意義、価値をもっと高めていく必要があると思います。

 PMAJの強みは、IT業界だけでなくエンジニアリング、建設、製造など異業種の方々、多様な価値観の方々とお付き合いができる場や実質的なPMノウハウを提供できることかと思います。世界のPM界との太いパイプ、チャネルも強みです。PMAJではこれらの強みをもっと活かして、PMコミュニティの世界的な連携なども含めPMをより魅力あるものにしていく努力と工夫を、田中理事長をはじめとする関係者が協力してこれまで以上にしようとしています。会員活動でも、法人会員、個人会員、さらにはまだ会員になっていない人たちのニーズや期待を拾い上げていく努力を手始めに、環境変化への適応を念頭においた行動を心がけたいと思っています。

 私は10年ほど前に大病をして生死の境を彷徨いましたが、周りの方々のおかげで幸いにも生還することができました。限りのある人生なので、世の中に少しでもお役に立つことができたらいいなという思いで、微力ですがPMAJの運営に貢献していきたいと思っています。
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