関西P2M研究会コーナー
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P2Mとの出会いと経営

三浦 弘光 [プロフィール] :2月号

●私がP2Mと出会ったのは、平成17年頃です。その頃、私は大阪駅「北ヤード」開発プロジェクトに所属して大阪経済の再生を目指していました。このチームのメンバーには、都市計画・土木工学・ファイナンス・企業経営・学者等のプロフェッショナルが参加しており、定期的に集い、ミーティングを行っていました。そして、チーム内では各人の役割分担が行われ、私はプロジェクト・マネージャーに任命されました。
 私は長年、零細企業(不動産鑑定業等)を経営していますが、プロジェクト・マネージャーの真の役割については、よく理解出来ないでいました。
 ちょうどその時にPMSの講習会を知り、これに参加して、2回目の挑戦で合格することができました。この講習会での小石原健介先生等の異文化コミュニケーション・マネージメント講義は本当に有意義なものでした。これをきっかけにP2Mの全体像の把握に取り組んでいますが、IT関連に弱い私には難解なことが多いのが現実です。
 このP2Mの学習会で、私が最初に共鳴・共振できたのは、@プロファイリングマネジメント(現状のありのままの姿とあるべき姿を把握し、そのギャップを埋めるための課題を抽出して、これを解決する思考)と、Aプログラム統合・マネジメントの考え方でした。
●P2Mの特徴は「外部環境の変化を意識して、複雑な問題に解決の道を開き、事業価値を向上する」という「仕組みづくり」の発想にあると思います。
●私は、上記@Aの考え方を基盤にして、更に@については、インテグレーティブ・シンキング等の考え方を付加し、そして、Aについては、複雑系の経営・複雑系の知等を付加して、スキームを作れば、我が社の経営や私が手がけている事業再生の業務に有効活用できるものと思っています。
●経営は、高い視点と広い視野によって経営者のミッションを達成していくための価値創造事業と言い換えることができます。価値創造を考えていくために重要な視座が、パラダイム転換認識、複雑系による認識、そしてシステムによる認識という3つの認識です。これが、上記Aに付加する考え方の骨子です。この認識は、動乱社会の今、企業経営に有用なものであると思っています。
●ところで、グローバル化・ボーダレス化の時代を迎えた今、戦後世界に誇ってきた日本型経営の優勢が失われ、事業再生に取り組まなければならない企業が極めて多いというのが昨今の日本経済社会の実態ではないでしょうか。そうした中で、昨年、注目すべき事例が生まれました。
●東大阪市の中小企業のものづくりの技術レベルは、世界のトップレベルであるにもかかわらず経営が困難な状況が続いています。この状況の中、一人一人の技術者の匠の技を結集し、プロジェクト・プログラムで仕組みをつくり、「まいど1号」を開発して打ち上げに成功したのです。これは、世界的な壮挙です。
 この例は、光り輝く点と点を結びつけて面をつくり、プロジェクト・プログラムという立体組織を組成して、「あるべき姿」を勝ち取るヒントだと思います。
●今やわが国は、「物づくり立国」の看板をアジア各国に明け渡さなければならない状況に追い込まれています。この窮地を救う道が「仕組みづくり」にあると確信します。上記のような本当に力のある企業が、社会の役に立てる「仕組みづくり」を構築していくことが急務です。私は、これまで培ってきた人脈と経験・スキルを生かしつつ、P2Mのスキームを活用することで、そのお手伝いをしていきたいと思っています。
以上
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