関西P2M研究会コーナー
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私とプロジェクトマネジメント

関西P2M研究会 守能 昇治 [プロフィール] :1月号

1.プロジェクトとの出会い
 私は約20年前に就職して、最初の職場として当時会社にとって最大のプロジェクトに配属された。当プロジェクトは、その時点で開始十数年を経過していて、順調にいけば3年後に終了する予定であり、「いかに無事に完結するか」が最大の課題であった。
 着任直後に先輩から「プロジェクトというものは初めに立ち上げるのが一番たいへんなのだが、その次にたいへんなのはうまく終わらせることである」と動機づけされたことが今でも印象に残っている。
 確かに終了間際のプロジェクトというのは、最後に万一のことがあれば、それまでの全てが台無しになってしまうという緊張感がある一方、終了後のことをいろいろと想像し、気持ちが発散する独特の雰囲気があったように思う。そんななか、数百人のメンバーの気持ちを集中させることを意識しつつ、作業計画や運営に携わり、プロジェクトが完結したときにはプロジェクトのメンバー全員と達成感を味わうことができ、プロジェクトに携わることのすばらしさを知った。と同時に、次はプロジェクトを立ち上げる仕事に臨みたいという気持ちになった。

2.プロジェクトへの取り組み経験
 そんな気持ちが反映されたかどうかは分からないが、総合ショールームを開館させるという計画があって、そのプロジェクトメンバーとなり、主に運営面の計画・マニュアル作成に携わることになった。開館日が決定している状況のなかで、社内・社外のステークホルダーとコミュニケーションをとりながら、形にしていくことが求められた。このときは、なるほど、プロジェクトの立ち上げは想像以上にたいへんなものだと感じた。そして、終了させることと決定的に違うのは、立ち上げは立ち上がってからが本当のスタートで、軌道に乗るまで変更の連続で、プロジェクトマネジメントサイクルを実行することがたいへんなことだった。
 次に、マーケティング事業の会社に出向することになり、クライアントから調査や販売促進を受託し、案件ごとにプロジェクトとして実施していく業務に携わることになった。それまでの大型プロジェクトの一メンバーとしての役割と比べれば、必ずしもプロジェクト規模は大きくはないものの、品質・利益について当該案件のリーダーとして責任を持つ役割になった。そして、種類の異なるプロジェクトを10件程度並行して実施していくことが求められ、優先順位のつけ方、作業工数の見積もり、スケジューリング、人のアサインなどを試行錯誤で最適解を追求している状態で、このときにプロジェクトのマネジメント方法について参考になる考え方はないかと捜し求めていたような気がする。
 そして、7年前に本社の購買部門に戻ることになり、企画業務を担当し、現在に至っている。会社では多くの建設・システム開発・しくみ改革のプロジェクトが実施されているが、多かれ少なかれ必ず購買・調達が伴う。一つ一つは購買案件として管理され、社内・社外のステークホルダーと調整・交渉しながら、契約・予算・品質・納期管理を行うことになる。私自身は、このような調達マネジメントのプロセスを踏まえながら、企画スタッフとして、しくみの整備、業務分析や教育などを担当している。また、当該組織の課題についてソリューションを図るべく、課題解決のプロジェクトの運営も行っている。
 以上のように、終了間際のプロジェクト→立ち上げプロジェクト→受託プロジェクト推進→調達マネジメントおよび課題解決プロジェクトと、様々な角度からプロジェクトに関わってきた会社生活である。

3.プロジェクトマネジメントとの出会いと参加
 ちょうど、現業務に携わることになった時期に、P2Mと出会った。きっかけは社内でPMSの取得が推奨されていることを知り、業務のレベルアップのために、プロジェクトマネジメントを体系的に学習したいと考えたからである。
 無事にPMSに合格してから、事務局の松谷さんからのお誘いもあって、P2Mクラブ関西分科会に参加させていただき、その後、関西P2M実践事例研究会「緊急時や予期せぬ難問への対応」、「プロジェクトXに学ぶ」を経て、現在は「プロジェクトにおけるメンタルヘルス」に参加させていただいている。
 PMS資格取得の最大のメリットは、試験学習を通じて基礎知識を習得できるだけでなく、「関西P2M実践事例研究会」や「PMフォーラム」が実施されていることにあると思う。私はいくつかの資格を知っているが、PMS資格ほど、取得後のコミュニケーションの場が設けられている資格はないと思う。これもPMAJのプロジェクトマネジメント力のなせる技に違いないと考える。

4.最後に
 「関西P2M実践事例研究会」のメンバー、事務局の方の前向きな姿勢に励まされ、寛容さに支えられて、実践的なプロジェクトマネジメント学習に継続的に参加できている。本当にいつもありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
以上
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