P2M研究会
先号   次号

東京P2M研究会 11月 月例会

藤澤 正則:12月号

1. 日時 2009年11月26日18:30〜21:00)
2. 場所:PMAJ 2階会議室
3. (敬称略)渡辺、岩下、仲田、梶原、近藤、中村、虎谷、梅田、宮本、山本、佐藤、藤澤
4. 議事:2009年度の研究課題に関するディスカッション
(1) 医薬研究所建設プロジェクトにおけるリスクマネジメント:虎谷
  ・医薬業界の概要
 研究開発費は、他の業界と比較すると、社内使用研究費比率は高い。また、売上げ構成比は、医療用医薬品が80%を占め、新薬とGEでは、価格差も大きい。
 新薬開発には、10年から18年かかり、特許が切れると、経営に大きな影響がある。
・今回のプロジェクトの内容
「創薬機能の研究所の建設プロジェクト」
 述べ床で30万uの中で各々の研究機能が連動して、創薬機能する形になる。
 大規模かつ短納期で、高性能な品質確保のため、高度なマネジメントが必要となる。
 今回の発注形態は、分離発注方式建築・空調・電気)であり、建築工事会社が統括管理、総合管理を行う形であり、また、性能保証での受注方式建物、空調、電気、設備での性能保証が要求される)となった。
 プロジェクトの組織体制は、企画構想フェーズから関わる体制として、統括管理室、エンジニアリング、施工、生産設計で構成し、統括管理室が発注者、CMr、 工事監理者と渉外の役割と果たし、現場推進のHUBの機能を行った。また、品質確保のための現場においても、設計、品質、作業の機能組織を設置し、全社的に支援できる体制とした。なお、要求性能確保のためのプロセスと方策としては、発注者側の運用を含めた合意形成を全体会議と分科会で確認を行いながら進めた。情報セキュリティに関しても、現場レベルまでのルールを決め、運用した。
・統括管理業務の課題
 複雑な実施範囲であり、複合的な要因での不具合発生時のリスクが高くなる。
 発注者側の要因や設備側の取り合いの要因も含まれる可能性があるので、契約時のポイントとして、範囲と責任に関する事項を明確化する必要がある。法務部門や弁護士の立会いの上進める方法もある。

(2) 世界最長の橋梁建設工事プロジェクト:中村
・計画の概要
 イタリアのメッシナ海峡大橋を作るプロジェクトであり、2006年に計画させていたPJが再開し、2009年に着工し、2016年の完成を目指して、進めている。
 受注方式は、共同事業体での受注で、吊り橋のエンジニアリング、重機、建設での参画をしている。この橋は、鉄道と道路併用の橋で、完成することのより、インフラの整備と雇用の促進を実現することを目的としている。
・自社の強み
 これまでの国内、海外を含めて、多くの橋梁の受注をしてきており、そのポイントとしては、計画時にどれだけフロントローディングができ、計画の精度を上げて、実施していくかが重要である。例えば、各国の条件に合わせながら、工期の短縮ができる工法を活用し、結果として、コスト低減が実現できる。

(3) PMAJジャーナル37号の寄稿論文について:岩下
 PMAJジャーナル37号で、「私流PM、日本流PM」について、特集を組むので是非、寄稿をお願いしたい。

(4) IT業界におけるプロジェクトの状況について:渡辺
・配布資料:IT業界の今の動きは何を意味するのか
       CIO戦略フォーラムワーキンググループ報告
       平成21年度 CIO戦略フォーラムについて
       プロジェクトマネジメントを成功させるための基本条件
       P2M手法による「業務の見える化」手法
・IT業界の動き
 IT導入には、発注者側での超上流の構想の必要性がある。
 実際のIT経営の状況を見ると、システム導入、部門内活用が70%を占め、全体最適、横断的最適化段階になっているのは30%となっている。
 IT導入に当たっては、発注者側とベンダー側が歩み寄り、各々がどんな価値になるのかを理解して進める。
 IT導入の歴史は、当初は基幹システムの整備から始まり、ソリューションビジネスに広がり、ITシステムはほとんどの企業に導入された。業務改革を含めたコンサルテーションの業務を進めているが、これまでのようなハード中心として、それに付随したソフトという進め方では、生き残ることが難しい環境になってきている。
・プロジェクトマネジメントを成功させるための基本条件
 大阪において、上記の内容をエンジニアリング業界での進め方を踏まえて、講習を行った。プロジェクトを成功させるには、スキームモデルで80%決まる。戦略と構想計画を含めたプロジェクト計画策定を行い、システムズエンジニアリングの活用は有効な手法である。発注者側の要求事項を受注者側での精査する手法として技術的限界達成法がある。契約については、発注者のリスクも受注者側で受ける可能性がある一括受注でない方法を取ることやコンティジェンシー予算の確保、コンフィギュレーションの範囲の明確化も重要である。
・ITの見える化について
 今後のIT経営を進めるには、見える化を推進する必要性があるが、どのようにすると見える化ができるのかを検討し、ITを行っている人で教科書を作る必要がある。

5. 次回までの実施事項と次回の日程
実施事項:2009年度の研究課題の進捗状況とディスカッション
次回の日程:1月28日(18:30〜20:30)
場所:PMAJ 2階 会議室

以上
ページトップに戻る