P2M研究会
先号   次号

東京P2M研究会 10月 月例会

藤澤 正則:11月号

1. 日時 2009年10月22日(18:30〜21:00)
2. 場所:PMAJ 2階会議室
3. 出席者(敬称略)渡辺、仲田、内田、梶原、近藤、中村、虎谷、梅田、北島、藤澤
4. 議事:2009年度の研究課題に関するディスカッション
4−1 :サービスモデルから考えるITシステムの構築方法(仲田)
  ・配布資料:NTTドコモ CiRCUS
事例研究:NTTドコモのプラットフォームのCiRCUS
iモードサービス開始から2年目で、新しいシステム構築を決定し、約1年間でシステム開発を行い、その後1年間かけて、システム導入立ち上げを実施。
サービスモデルから見た要求事項のレベルが高い
大量短時間でのトランザクションと止めないシステム、短期間での開発
この要件に対応しうるシステムの開発(ハード、ソフト)
非機能要件への対応の難易度の高さ
移行、運用、障害、セキュリティ、キャパシティ要件
・今後進めること
この事例をベースにサービスモデルの運用からのITシステム構築を考える
4−2 「業務の見える化とは何をすることか」(渡辺)
・配布資料:経営とITの融合
IT経営ロードマップ:業務と情報の「見える化」「共有化」「柔軟化」
ディスカッション:業務の見える化をどのようにして行うか?
私がこのテーマを取り上げた経緯をお話しします。近年経済産業省のIT業界への取り組みが、国内向けのITから脱皮して、グローバル化に向けた動きが出てきました。従来は構想計画を実施することなしに、システム開発を実施していました。この弊害をあらため、
1) 「超上流から攻めるITの勘どころ」IPA2006年
IPAから「超上流の勘所」が出され、構想計画に実施の必要性を指摘するようになりました。同時に契約を正しく実施することの重要性を指摘があり、契約のあり方が研究されています。このような動きはPMを正しく実施するうえで全く好ましい現象です。
2) 「IT経営ロードマップ」2008年6月
IT経営協議会より「IT経営ロードマップ」が提供され、業務のIT化は業務改革を目指すには、まず「業務の見える化」でどのような業務改革を実施するか見極めてIT化を考えましょうという指針的な内容のものが出版されたわけです。業務のシステム化に際しては部門最適から全社最適に移行するのは、共有化が必要であり、業務のグローバル展開にはグローバル企業との情報の相互乗り入れを考えるとシステムの柔軟化が必要でという構想で書かれています。今回の議論はこのような背景の中で「業務の見える化」とは具体的に何をすることかを考えてもらいました。
3) 「ITの価値指向マネジメントのフレームワーク」委員会2009年4月発足
最近のIPAの動きは更に活発となり、上記委員会が2009年に発足し、P2Mで定義したプロジェクトは価値創出を行う事業であるという視点で、IT投資を考えなさい。その際価値評価では発注者にとっての価値と受注者にとっての価値が異なる場合は一方的に価値を作り出すのではなく、相互のWin/Winの関係の中で調整する必要性を認め、そのフレームワークつくりをする目的も含まれています。この委員会の目的は従来はシステムの納入が目的になっていたのを改め、投資効果を含めた価値創造と納入されたシステムの納入後の価値評価を行える枠組みをつくり上げることを狙っています。

 これらの動きは、グローバルで通用する本格派のPMである、P2Mとして望ましいことであり、P2M普及の良い機会と考え、「業務の見える化」に対する各位からの意見をまとめるために議論を進めました。
 ITロードマップでは「業務の見える化」と簡単に書いてありますが、抽象的に議論しても意味がないので、具体的な問題で考えてもらいました。考えてみると「業務の見える化」は各位にとっても、会社内で活躍するためには格好のテーマであり、各位が直面している現実の問題を取り上げて業務の見える化」をして欲しいと願ったわけです。

 各位の事例
 1)梶原さんの事例
 Z社の事例で「業務の見える化」のお話しいただき有難うございました。Z社は社長がP2Mの強烈な信奉者で業務にP2Mを全面的に取り入れ、実施している会社です。梶原さんからはその一端のお話しを頂きました。ここでのお話しは「見える化の難しさもありますが、見える化をして採用したものを実行させることの難しさを説明してくれました。実はここが最も重要で、ITパッケージを導入しても、その効果を発揮するためには関係者が面倒なことを実行する努力が大変なようです。何かインセンティブを与える必要があるというような議論もでました。IT化より、 導入したシステムを使いこなし成果を上げることが、本当の意味で「IT化の大きな仕事」なのかもしれません。
 梶原さんから「実施がいかに困難か」という点で大変貴重なご意見を頂きました。昨日は時間の関係で梶原さんの議論を中途で止めましたが、「見える化」とその後の実施方法について、皆が実行してくれるには何をしなければならないかという点で再度ご提案いただければ、面白い議論になると思いました。

 2)仲田さんの事例
 業務の見える化を「WBSを利用しよう」という発想を頂きましたが、これは面白い発想と思います。日揮はすべてのプロジェクトのWBS辞書が出来ています。コード番号がふってあります。業務はIDEFで整理されています。プロジェクトの工程管理をコンピュータでおこない、ビジュアル的にはCADで計画と実績を可視化しています。業務のコード番号が整理されていますので、世界中で実行しているプロジェクト財務的な資料が毎月報告され、管理が容易になっています。

 3)鮫島さんの事例
 JALの事例です。JALは航空会社ですから、世界中の企業、人々を対象に業務を展開しています。お手本として欧米の先輩事例があり、コード化が発達しているため、見える化が容易であるとの話しがありました。医療関連でいえば、セキュリティー問題を考慮してた個人情報が存在すると、薬局で薬の提供をする際、今飲んでいる薬との関係でA医師の指示した薬がまずい場合は即座にA医師に連絡し、変更することが出来る等、色々の事例を伺いました。

 業務の見えるかの継続
 「業務の見える化」は実践事例しか意味がないかもしれません。私たちの研究はP2Mを実践的に使えるようにするための研究です。自分の業務をどのように「見える化する」のかという話しが求められています。発表をお待ちしています。

5. 次回までの実施事項と次回の日程
実施事項:2009年度の研究課題の進捗状況とディスカッション
次回の日程:11月26日(18:30〜20:30)
場所:PMAJ 2階 会議室

以上
ページトップに戻る