P2M研究会
先号   次号

IT業界が「超上流計画、業務の見える化、価値指向マネジメント」と
プログラムマネジメントの方向へ歩みだしている。

P2M研究会 渡辺 貢成:12月号

P2Mの創設に際し、通産省(当時)のご意向もあり、受注者向けのPMであるPMBOKと違う、オーナーのためのPMを創設した。日本のPMはプラント系エンジニアリング会社が海外の顧客とお付き合いするため、米国流PMを取り入れて、プラント建設を成功に導いた。1980年代に入るとITプロジェクトが米国で盛んになったが、成功率の低さから、米国のPM協会(PMI)がPM経験者を集めPM知識体系(PMBOK)をつくった。この資格試験の合格者がPMPとよばれ、米国IBMがPMP資格者でないとプロジェクトマネジャーにしないと決めた。これに即発されて米国のIT企業はPMP資格取得を奨励し、PMP資格者は急激に増え、PMBOKは世界でデファクト・スタンダードとなった。当然のことながら日本のIT業界もPMBOKを採用してプロジェクト運営を行っている。

P2MはオーナーのためのPMで、発注者が構想計画を実施するときに役に立つが、日本のIT発注者は構想計画を実施しないで、PMを進めている。そのためIT業界で使わる事例が多くない状況である。そこで私たちPMAJのP2M研究会は国際P2M学会で実施している「経営とITの融合」研究会に参加し、学者と実践家との融合の中で新しい研究を進めている。特に最近はプロジェクトオーナーであるJUAS(日本情報システム・ユーザー協会)とのお付き合いが増えている。

JUASとお付き合いをしはじめてわかったが最近IT業界が大きく変わろうとしている。それは経済産業省とIPAの動きである。
@ 2006年に「超上流から攻めるIT化の勘どころ」が出版された
  発注者は構想計画を実施しなさいと示唆している
A 2008年に「IT経営ロードマップ」IT経営協議会
  ITロードマップは@IT化をする前に業務の見える化、業務改革の案を創りなさい。その後IT化をしなさい。それをしないでIT化しても改革の効果がでないと示唆している。
  業務の見える化、情報の見える化の次は共有化である。現在日本企業では全社規模のIT化は20%で75%は部門内最適化となっている。ステップアップしないと 企業内での全体最適ができないと示唆している。
  企業がグローバル化されるにはITシステムが柔軟性を持つことが求められている。海外企業との情報の共有化ができないとグローバル企業として存続できないと示唆している。
B 2009年に「価値指向マネジメントWG」
  IT化で各ステークホルダーの価値観に相違があり、それぞれの価値観を尊重し、Win/Winの協力関係を築くことの重要性を示唆している

この動きは最近の話である。
これらの動きはまさにIT企業はP2Mを求めていることを意味している。プログラムの「見える化」はプロファイリングマネジメントである。P2Mは価値創出のプログラムマネジメントで、ツールとしてはOWモデルがある。
「経営とITの融合」研究会は今この仕上げに取り掛かっている。
以上
ページトップに戻る