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自治体経営とP2M―プロローグ―

PMR:近藤 芳宏 [プロフィール] :12月号

1.はじめに
 私は、現在川越市の市議会議員をさせて頂いているが、今、地方議会が変わらなければならない中で、PMRとして、P2Mによる自治体経営の実現に向けて、挑戦をしているところである。私のような経歴をもった議員は、川越市ではユニークな存在である。今回のジャーナルでは、プロローグである点ご理解を頂きたい。

2.経歴について
 まずは、私の経歴に触れておきたい。教職を目指した大学時代。教員にはならず、三菱銀行に入行し、17年間勤務した。39歳の時に、IT関連のソフトウェア会社である株式会社ディアイエス(現在は、ゼッタテクノロジー株式会社)に入社し、主として財務担当の経営スタッフとして11年間務めた。平成3年より、埼玉県川越市に居住している中で、平成19年4月の統一地方選挙に初挑戦し当選、川越市議会議員として現在2年6ヶ月となる。「多彩な経験と新発想で、川越市政に新風を!!」のキャッチフレーズの新発想とは、P2M に他ならない。

3.P2Mとの出会い
 前職のゼッタテクノロジー株式会社では、MT(マネジメントテクノロジー)とIT(インフォメーションテクノロジー)と業務の融合に向けた人材育成の観点から、当時P2M資格試験に全社挙げて挑戦をしていた。最初に合格した4名の中の1人として、P2M資格を取得し、その後PMR資格者となり、現在は東京P2M研究会に参加している。小原先生の講義そして、会食は懐かしい。先生のプロファイリングに関する考え方には、共鳴した。小原先生の価値創造の新しい「仕組み」P2M入門のあとがきの中で、構造改革には、発想、仕組み、行動の3要素の一体化が不可欠としている。その発想には、現状を打破できるアイディアを生み出すプロデューサーが必要である。仕組みづくりには幅広い知識の融合が不可欠である。そして、行動には活力を生み出す動機付けへの配慮や仕掛けが要求される。それらを統合していく、「リーダープロデューサー」を育てていく仕組みが日本には存在しない。このことが問題なのだ。日本が発信したP2Mは、「見識力」すなわち「高さ」と「広さ」における全体を見る「俯瞰力」であり、日本での教育にはこの点が欠けていた。それゆえに、リーダープロデューサーの人材が不足をしている、と記している。地域主権に向かう中で、自治体経営にはP2Mが重要な役割を担うのではないか。

4.自治体経営とP2M
 今、政権交代により、「国のかたち」が変わろうとしている。マスコミも連日報道しているが、その中で、地方分権あるいは、地域主権が問われている。自民党時代には、地域主権型道州制が、言われていた。制度論では、様々な議論があると思うが、いずれにしても、今後自治体は、経営的な発想で自治体運営をしていかなければならない。健全な財政運営をしながら、住民満足度を高めていく為に、どのような政策を行うか。是までは、国のひも付き補助金に代表されるように、政策官庁というよりも、事業官庁であった。今後は、地方自治体は、民間手法も学びながら、自治体経営という視点で発想を転換しなければならないだろう。川越市は、現在約34万人の人口を有する中核市であり、埼玉県西部の中心市である。私は市議会議員の立場で、川越市においてP2Mによる自治体経営の実践事例を実現したい。

5.3つのコンセプトとPBSC
 私は、P2M発想の中で、3つのコンセプトを掲げ、つまり@目的と手段の明確化(何の為か!)Aプロファイリング(使命は何か!)B現場主義(特に、女性の声を大切に!)の3点を念頭において、様々な課題に挑戦し、バランス・スコアカードの4つの視点(財務・顧客・プロセス・学習と成長)を評価軸として、検証しているところである。公共におけるPBSC(プロジェクト&プログラム・バランス・スコアカード)の活用に挑戦したい。今後、具体的な報告が出来ればと決意している。

「参考文献」
@P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック
AP2M入門
BP2Mシリーズ プロジェクト・バランス・スコアカード(PBSC)
C自治体をどう変えるか 佐々木信夫 ちくま新書
D自治体政策 佐々木信夫 日本経済評論社
E国民を元気にする国のかたち―地域集権型道州制のすすめ― 江口克彦 PHP研究所
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