PMプロの知恵コーナー
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プロジェクトマネジャーの知恵 (5)
「「困ったときの知恵」とは何か (1)」

渡辺 貢成:11月号

1. PMでは、出来るだけ「知恵」は使わないほうがよい。だが!
 PMにおいて、正しい構想計画を策定し、使用を固め、計画に則り、粛々と仕事を進めるのが最も好ましい。良いプロマネは概して静かに仕事をし、静かに仕事を片付けるのが理想である。言葉を変えると目立たないプロマネが最高である。

 さて、すべてのプロジェクトがこのように順調に行けば幸いであるが、このようなことはまれである。プロマネは常に困難に直面する職業と考えてよい。であれば「困ったときの神頼みではなく、困ったときに知恵の出るプロマネになりたい」と思うが人情である。

 今回から実践事例で「知恵」のお披露目する。しかし、これは自慢話ではない。「困ったときに冷や汗をかきながらやっとゴールにたどり着いたプロマネの話し」が中心である。

2. 「困らないと知恵は出ない」
 困らないと知恵が出ないことは90%真実である。しかし、困ったら知恵が出るかというと、知恵を出せる人と絶対に出せない人に分類できる。以下は「知恵の出ない人」、「知恵の出る人」の基本属性を紹介する。
2.1 知恵の出ない人の基本的属性
1)問題発見力不足
 @日頃問題意識を持っていない人
 A問題が起きても自分の問題と考えない人
2)課題認知力のない人
 @失敗を恐れる人、極度の出世願望者
 A難問に直面するといなくなる人
 Bできない理由を整然と述べる人
 C最初からできると考えない人
 D制約条件を先に認定してしまう人
3)問題解決力のない人
 @知っていることと、できることを勘違いしている人
 Aツールでモノを考える人
 Bものごとを表面的にしか捉えられない人
 C問題の本質をつかめない人
 Dコンテキストを理解できない人
 E目的展開のできない人
 F企画力のない人
 G人を説得することが苦手な人
 H行動力のない人
なぜ、知恵の出せない人の基本属性を書くかというと、サラリーマンの80%はこの基本属性の持ち主だからである。しかし、あなたは怒ってはいけない。この基本属性に逆らって仕事をすれば、残りの20%の仲間入りが出来るからである。

2.2 知恵の出る人の基本的属性
1)好奇心の旺盛な人
2)意欲のある人
3)本質を捉えることを心がけている人
4)コンピテンシーのある人
5)コンテキストを理解でき、目的展開のできる人
6)切羽詰ると力を発揮できる人
7)問題解決に価値観を見出す人
8)ポケットにたくさん知識を持っている人
9)考えることが好きな人
10)柔軟な脳の持ち主
11)可能性を信じる人
12)無邪気な脳の持ち主(無意識脳の活躍できる人)

次回は知恵を出せる人の基本的能力について説明する。出来ない人の基本属性は説明しない。多くの人は自分でよく知っていることばかりだからである。
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