トピックス(活動報告)
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製造業向けP2M活用調査研究委員会に参加して

林 英男 [プロフィール] :11月号

 「製造業向けP2M活用ガイド」の作成に参加させて頂きまして、ありがとうございました。
 今回、P2Mの委員会への参加の依頼があった時には大変驚きました。P2Mが世の中に現れた際に、なんとか理解しようと一生懸命勉強したことを思い出し、以来、プロジェクトから少し離れたこともあり、またP2M関係の勉強を必ずしも十分に行ってこなかった自分で良いのか、自問自答いたしました。しかし、今まで頭の中でもやもやしていたP2Mに関することを、きちんと整理するチャンスであると考え、思いきって参加させていただくことにしました。
 お叱りを受けるかもしれませんが、小職はガラス業界の中でもエンジニアリング関係の業務を経験し育ったため、P2Mの考え方は非常に分かりやすかったですが、会社の中でいざ適用してみようとしても、それまでに経験した建設“プロジェクト”が、沢山走っているわけではなく、それ以外の実際の企業の活動とP2Mの概念とを結びつけることに、非常に苦労しておりました。さらに、自身の担当業務は、大きなプラント建設、システム構築等を経て、CS(Customer Satisfaction )の新しい仕組みづくり、人材育成の新しい仕組みづくりなどを順次担当し、ますます難しい状況にありました。しかし、どのような仕事もプログラム、プロジェクトとして考えれば同じであると考え、何とかうまく説明付けたいと思っておりました。
 不安な気持ちで委員会に出席してみると、委員会メンバーは日本を代表する産業界の重鎮・エース、アカデミックな先生と、非常に高いレベルの方々が参加され、かなり気おくれした記憶があります。それでも、何とか学びながらでも頑張ろうと、活動を継続させていただきました。
 さて、当初は自分の会社の仕組みを図示することすら難しいような状況でありましたが、委員の皆さんとの討議や、様々な産業界のお手本を参考にようやくまとめることができました。そんな7カ月でしたが、自分にとっては自社の内部での業務だけでは得られない広範な知識を身につけることができるなど、大変貴重な経験をさせていただいたことに大変感謝しております。視点も以前より少し高いものになったように思います。
 活動を通じて一番嬉しかったことは、プログラム&プロジェクト統合モデルを勉強し、P2Mは、経営戦略、経営方針からおりてくる実際の企業活動へ、実にうまく活用できるものだということを実感したことであり、まさに目からうろこが落ちたという感覚がありました。
 これからP2Mを勉強する方々にとって、これらのことを理解できないと、P2Mが単なるツールの一つであると誤解される可能性もありますが、できあがったこのガイドも併せて読んでいただければ、企業における経営戦略の立て方、変化への対応などの実際の活動は、P2Mという言葉を知らなくても、実はP2Mそのものを実践しているのだということがよく分かると思います。このガイドにより、さらにP2Mへの理解が深まり、企業へのP2M導入が加速され、日本企業の競争力がますます高まることを確信しております。

 最後に、ガイド作成で様々な気づき、成長することができましたが、今回快く細かい点までご指導頂きました委員会の皆様、事務局の皆様に、厚く御礼申し上げます。
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