P2M研究会
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グローバル社会におけるプロジェクトマネジメント
〜グローバル社会で必要な人材とは〜

東京P2M研究会:梶原 定 [プロフィール] :10月号

 IT技術・科学の急速な発展により、世界経済市場は益々、グローバル化が進み、人や物の移動・輸送が簡単に、
また情報は、インターネットの発展により、いつでも、どこからでも、必要な情報を検索し、見ることができ、また、転送・交換も瞬時にできるようになりました。 その結果、加速するグローバル化により、日本の経済市場も世界経済とさまざまなレベルで相互に結びつき、世界経済市場の影響を直接受けるようになった。 そのため、現在では、急激に変化する経済環境に対応できる国際競争力を持つ企業や人材の育成が求められています。 では、このようなグローバル社会では、グローバル化に対応できる能力をもつ、グローバル人材の要件とは何か?
 @ビジネスに役立つ語学力
 A異文化交流能力
 B異文化との関係性構築能力(人脈構築力)
 Cプロジェクトマネジメント能力
以上4つの能力が要件として必要と考えられます。

グローバル化が進むうえで、海外とのビジネスが益々拡大し、海外とのビジネスの展開を図る企業にとって、グローバルな視点で、ものを見、考え、判断し、行動できる企業が、これからのグローバル社会では、勝ち残っていくのではないかと考えます。 社員もまた、グローバルな意識と能力を持つ「グローバル人材」が望まれます。
そのためには、技術だけでなくプロジェクトマネジメント能力を持ち、内外で活躍できるグローバルな人材を企業は育成する必要性が急務となっています。 特に、海外で活躍できる人材を育成する上で、企業が乗り越えなければならないAの異文化交流能力に焦点をあて、私のビジネス(アメリカ・台湾・インド企業との)経験を踏まえお話します。
P2Mでは、コミュニケーション・マネジメントにおいて、以下の異文化コミュニケーションの重要性をあげ、
 1)異文化コミュニケーションにおける問題点
 2)異文化対応能力
 3)異文化間でのビジネス・組織行動能力
について詳しく説明しています。

異文化を理解する上で、非常に大切なことは、まず、色々な文化・価値観を持つ国、民族の存在を認め、受け入れることです。 言葉をかえると、受容する姿勢・発想をもち、ビジネスをすることが必要です。 その上で、異文化間の違いを比較し、なぜ、そのような行動様式をとるのか調査・研究し、理解・対応することが必要と考えます。
特に日本企業が、低コンテキスト文化園の企業とビジネスを行う場合、高コンテキスト文化(日本人)的、発想・考え方・姿勢でビジネスの展開を図ると、かなり高い確率でビジネスは、失敗プロジェクトとなり、多くの場合、なんで、彼らはこうなんだという不満足な結果になることが多いのです。
例えば、低コンテキストにおける経営組織と運用に関して言えば、低コンテキストの経営組織と運用は、
 @責任と権限が明確な組織体であり、
 A命令系統はトップダウン方式で行われ、
 Bそれぞれの社員の役割・職務分掌(ジョブ内容が)が明確であり、それに基づいて、雇用契約が締結され、
 C業務内容も、詳細にマニュアル化されている組織体です。

このように、社員は企業と、雇用契約で結ばれており、契約書に記載されている職務に対して、対価(給料)が支払われます。
  このことは、職務分掌が明確でない、日本人にとっては、理解しにくいかもしれませんが、例えば、プロジェクトで何か問題が生じても、職務範囲以外の社員は、プロジェクトで問題が起きても、支援するという文化になっていないことを意味します。 理由は簡単です。 雇用契約で記載されていない職務は契約の範囲外であるからです。
この考え方は、非常に論理的であり、彼らの考え方からすると道理にかなっていることになります。
低コンテキスト文化園の企業とビジネスを行う場合、アプローチとしては、低コンテキスト型の手法を取り入れ、相手の立場に立ったコミュニケーションとビジネス・アプローチで、マネジメントすることが重要です。
作業範囲、納期、品質、コストやプロジェクトの運用ルールなど、責任の範囲を明確にし、契約書のなかで詳細に明記し、対応し、プロジェクトを進めることが、非常に大切になります。 そのためには、異文化の存在を受け入れ、それを理解し、異文化の相手と論理的に堂々と主張すべきことは、主張できる精神的にもタフな人材の育成が待ったなしに必要な時代に突入していると考えます。
以上
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