P2M研究会
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国際P2M学会「経営とITの融合」研究会への参加

渡辺 貢成:9月号

本年度に入り、国際P2M学会の研究テーマの一つである「経営とITの融合」という研究会に参加させてもらっている。
研究会の主旨はIT産業にP2Mを普及させたいという願いから出発している。研究会は以前からスタートしているが、今年になって前進したのはJUASとのお付き合いである。

P2Mはその出発点として、オーナーのためのPMを目指して創出された。従来のPMの代表はPMBOKであり、これは受注者のためのPMとみなすことができる。ITのオーナーの立場にあるJUASとの交流を始めたものである。

ここでP2MがオーナーのためのPMであるという認識がやっと国際的に広まりだしている。

1.国際的認識の事例紹介
ISO(国際標準化機構)PC236会長のマイルス・シェパード氏へのインタビュー記事(2009/07/08)を紹介する。
◎PMに関してはISO21500として2012年にまとめる予定である。
◎Q:PMの手法として既にPMBOKやBS6079があるが、それらとの関係は?
A:PMBOKはプロジェクトをどのように進めるべきか、即ち「How」を説明する。ISO21500はプロジェクトマネジャーが何をしなければならないか、即ち「What」を説明するものだ。PC236ではリスクマネジメント、パフォーマンスメジャメント、ポートフォリオマネジメントなどの個々の分野には踏み込まない。
P2Mに関してはとても興味のあるドキュメントでPMBOKとは多くの異なる視点を持っている。

2.国内での事例
 近年は国内的にもP2Mに対する認識度が高まっている。
 IPAによる「ITSS」の説明資料で、
 「ITSSのレベル6は国家資格の技術士試験(総合監理)や民間のPMRが参考になる」との認識が示された。

JUASとの交流では細川専務理事のお話を聞く会を持ち、JUASの近年の充実振りのお話をお伺いした。JUASのご努力には感銘深いものがあった。

会合は月1回(土)に実施され、メンバーからの種々の事例発表があり、ITに知見の少ない私としては大いに勉強になっている。

この研究会は学会だけあって各方面の論客が参加し、事例発表の中で、質問や、コメントが出され、参加者は問題点が議論を通じて、次第にクリヤーになっていくという経験をしている。しかし、専門性を持っていないと、追従できないという面もある。また、議論が活発すぎて結論が出ないという面があるが、面白いことに、後日議論のまとめをしてくれる人もいるという面白さを持った討議の場である。

この議論はメール上でも行われている。一人がメッセージを発すると、10人ぐらいが、どんどん意見を述べるので、角度の広い見方を満喫することができる。
このような議論は参加者の視野を広げ、勉強しなければならないことの多さを感じさせる。
会社の中の狭い範囲で上級者と感じている人には大きな刺激となるので是非参加して欲しい。ただし。国際P2M学会への参加が条件である。
以上
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