PMプロの知恵コーナー
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プロマネの表業、裏業 (18) 「「軸のぶれないプロマネ」のあり方」

芝 安曇:9月号

 大勢のメンバーが参加するプロジェクトでは、「軸のぶれないプロマネ」の存在は頼もしい。軸とはプロジェクトの使命・目的・目標に向かって確固たる態度を持って望む「精神の軸」、「発想の軸」を意味する。小人数のプロジェクトでは気心が知れているから、プロマネの采配に対し、スタッフの理解を求めることが比較適しやすいが、多数で成り立っているプロジェクトでは「軸のぶれない行動」がスタッフや、顧客にも安定感と安心感を与える。

 プロマネはプロジェクトの誰が問題を起こしても全責任を負う立場である。プロマネは使命・目的・目標を見える化し、この路線に沿った行動に対し、スタッフに理解を求め、彼らの行動責任を自らの使命と感じて行動している。自分に甘いプロマネは信頼されない。スタッフはプロマネの挙動を足の先から頭のてっぺんまで観察している。言動が一致しないと即信頼は崩れる。これがプロの行動指針である。

 ただ、残念ながら、この「プロマネの行動指針」は日本の企業では個人の評価基準の対象となっておらず、時には協調性の欠如などという評価の対象になりかねない。しかし、顧客は確実に評価してくれるから、「軸のブレが少ないプロマネ」は安心して仕事ができる。

 「軸のぶれない行動指針」とは何によって生み出されるか? 実はここが難しい。一つは大局観である。大局観が成立するのは、行動が、顧客を含めて、関係者が納得するというおまけがついて認められることが必要条件である。

 さて、大局観という抽象的な言葉が出てきたが、大局観を説明することは困難である。芝安曇がつくりだした理想のプロマネの大局観を、具体的な行動指針として紹介しよう。
@ どんな事態に遭遇してモ決して逃げない
A 問題の本質を掴むために、あらゆる角度から観察し、スタッフからの意見を聞き行動を決める。あらゆる角度の視点の一つに4P法がある。(目的からの視点、立場からの視点、俯瞰した視点、時間軸からの視点)
B 顧客を含めたステークホルダーを説得するための方法を考えるが、顧客にとって受け入れやすいものが最優先となる
C 説得後は確実に実行に入り、成果を関係者に報告する
 このところプロマネの裏業の説明が多かったが、本日の説明はプロマネの表業である。プロマネとは辛い職業である。
以上
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